れいわ新選組の山本太郎代表が「安倍さんが総理大臣時代に(消費税)増税分の二割程度は社会保障に使ったけど、八割は借金返しに使ったと言っている」と述べた。これは「ほぼ正確」だ。(三井滉大)
チェック対象
山本太郎代表「安倍さんが総理大臣時代に言ってくださいました。(消費税)増税分何に使ったかと言ったら、要は二割程度は社会保障に使ったけど、八割は借金返しに使ったって言ってるんですよ」
(日本記者クラブ、9党党首討論会(参照1:42:51〜))
結論
【結論:ほぼ正確】
2019年1月の施政方針演説で安倍晋三首相(当時)は「増税分の五分の四を借金返しに充てていた」と言っている。
安倍首相の国会答弁を確認してみると
山本代表の発言は6月21日に日本記者クラブで行われた9党党首討論会でのものだ。
InFactは国会会議録検索システムを使って、安倍元首相が首相在任中に、消費税増税について何と発言していたのか調べた。その結果、2019年1月28日、衆議院本会議の施政方針演説の中で、山本代表の指摘と類似した安倍首相(当時)の発言を確認できた(参照)。
ここで安倍氏は消費税増税の意義を「全世代型社会保障制度」構築のために必要だと説明した上で、こう述べている。
「八%引き上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の五分の四を借金返しに充てていた、消費税の使い道を見直し、二兆円規模を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元いたします」
確かに、山本代表がいう通り安倍氏は「増税分の五分の四を借金返しに充てていた」と言っている。つまり、「八割は借金返しに使った」と明言している。
社会保障財源に使われていないことの指摘が発言の趣旨
もう一つの「「二割程度は社会保障に使った」については発言を確認できなかった。しかし消費税について、内閣官房は「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」としている(参照)。
そのため、借金返済に充てられていない残りの2割は、予定通り社会保障に使われていると、山本代表が判断しているということだろう。
山本代表の発言の趣旨は、「本来は消費増税分が社会保障に充てられるべきところ、実態はそうなっていなかったことを、安倍首相も認めていた」というものだ。
したがって、「二割程度は社会保障に使った」との部分は発言の趣旨からみて本筋ではなく、山本代表の発言の根幹部分に誤りはないだろう。
結論
以上から、山本太郎代表の「安倍さんが総理大臣時代、消費税増税分の二割程度は社会保障に使ったけど、八割を借金返しに使ったと言った」は「ほぼ正確」と判定する。
InFactはレーティングをエンマ大王で示している。問題のツイートは「ほぼ正確」であり、これは1エンマ大王となる。
エンマ大王のレーティングは以下の通り。
- 4エンマ大王 「虚偽」
- 3エンマ大王 「誤り」
- 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
- 1エンマ大王 「ほぼ正確」
(冒頭画像:日本記者クラブ主催の党首討論会(6月21日)で発言する山本太郎代表)
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