
ウクライナを取材した新田義貴さんの「ウクライナ取材メモ」に倣って、11月3日に開票が行われるアメリカの中間選挙についての取材メモを書き残しておく。(取材/立岩陽一郎)
首都ワシントン入りをしたのは10月29日の夕方。JALで羽田を発ったのは29日の13時過ぎ。シカゴへのフライト時間は10時間ほど。シカゴの空港に到着したのは現地時間の29日の午前10時過ぎだった。毎回のように思うが、1日若返った気持ちにさせてくれて嬉しい。
ただ、空港の入国管理では、多少、いろいろときかれて戸惑った。
「目的は?」
「友人に会うためです。」
これは嘘ではない。中間選挙の取材と言ったところでInFactは大手メディアのような記者証を発行してもらって取材をする存在ではない。候補者に密着するわけでもなければ、ホワイトハウスの住人の会見に行くわけでもない。首都で選挙を取材するアメリカ人ジャーナリストやジョージアのトランプ支持者はみな、古くからの友人だ。だから「友人に会うため」が正直な申告内容だ。ただ、意外に質問が多かった。戸惑ったのは次の質問だ。
「職業は?」
「大学で教えています」
その後だ。係官から問われて戸惑った。
「どんな内容を教えているのか?」
「メディアです」
そして、次だ
「どんなメディア?ジャーナリズム?」
そう向こうが問うてきたので、「はい。ジャーナリズムです」と一瞬戸惑いながらも答えた。なんだろう。中間選挙の取材だと思ったのだろうか・・・ただ、アメリカで「では、取材ビザをとれ」と言われたことは少なくとも過去にはない。係官は少し黙って私の記録を見ていたが、「ドルはどれだけ持ち込んだか?」との質問に答えた後に解放された。
因みに羽田で7万円を両替したが、そのドルは500ドルに満たなかった。これはやはりショックだ。円安とはこういうことかと実感した。
シカゴでのトランジットには2時間余りある。日本は午前6時くらいといった感じなので、徹夜明けのけだるさだ。頭を切り替えようと首都行きの便のゲート近くのスタバでコーヒーを買った。

フレッシュ・ブリュウド・コーヒー・・・というのが一番安く、これが日本のスタバのきょうのコーヒーなのだろう。それを頼むと、「ミディアムサイズ?」ときかれたのが一番安かったので、それにしたが、出て来たサイズは日本のグランデ・サイズだった。価格は5ドル弱。800円弱といったところか。
アメリカの食費の高さは2年前の大統領選挙時にも感じていたが、そう感じる理由には量の多さも有ると思う。私にはこの「ミディアムサイズ」のコーヒーは飲み切るのが苦痛なほど多い。半分くらいでちょうど良い。恐らく日本のショートサイズはこのサイズの半分以下だろう。そして価格も。3ドル弱くらいがちょうど良い。それで一昔前なら日本円で300円。それでも今は500円弱…高ぁ。
首都入りにはいつもレーガン空港を使う。国際空港は日本に原爆を落としたエノラゲイを展示しているスミソニアン博物館近くのダレス空港があるが、こちらは遠い。レーガン空港なら直結の地下鉄で10分も乗れば中心部に出られる。今回は地下鉄レッドライン駅フレンドシップ・ハイツ駅の上にあるホテルなので断然、レーガン空港が便利だ。

2010年の留学時から使っていた交通系SMARTTRIPはまだ40ドル分入っており、タッチして地下鉄に乗り込んだ。昔ながらのスペースシップ型の車両だ。2017年に住んだ時は川崎重工の車両だったが、乗った車両にはそれは書かれていなかった。
地下鉄ブルーラインでペンタゴン、アーリントン墓地などの駅を通ってメトロセンターに出て、そこでレッドラインに乗り換えた。東西冷戦時の核シェルターとして作られたという説もある首都のメトロ駅は昔から変わらぬ威容(異様?)を保っていた。
フレンドシップ・ハイツ駅は留学先のアメリカン大学の駅であるテンレイタウン・AU(アメリカン大学)駅の1つ先になり、ここからメリーランド州になる。レーガン空港も正確にはバージニア州にあるので、首都をまたいだことになるが、地下鉄に乗ったのは乗り換えも入れて30分もない。アメリカの首都の小ささを感じるところだ。
駅直結のホテル…な筈だったが出方を間違えて外を出てウロウロする羽目となった。ただ、久しぶりのフレンドシップ・ハイツは紅葉とおしゃれな店が出迎えてくれて時差ボケを癒してくれた。

チェックイン時にサービスドリンクが3階のレストランで楽しめると言われて顔を出し、シャルドネを2杯。それにナチョスとサラダを皿に盛ってお腹を満たした。ところが、ウエイターが「何か食事を頼むなら私に任せてください」と言うので、「あまりお腹はすいていないので、このスターターでももらうよ」と言ってしまった。そしてスターターに書かれたキャピタル・チーズステーキ・フライを頼んだ。14ドルだが、これは失敗だった。
出てきたのは大皿に盛ったフレンチフライの上にどっさりとチーズと肉片、トマトを持った一品だった。見た瞬間に「これは3人前くらいだろう」とウエイターにこぼした。すると、「バックをもってきます」と言う。恐らくこの後に口にすることは無いとは思ったが、取り敢えず「頼むよ」と伝えた。
このホテルは地下鉄の上に立つビルで、建物の中は大きな吹き抜けとなっている。それを囲むように客室が配置される構造だ。レストランはその吹き抜けの3階部分で、各フロアーの廊下を見ながら食事をするという感じだが、天井から巨大な星条旗が吊るされていた(冒頭の写真)。以前は無かったように記憶しているのは、トランプ氏がホワイトハウス近くオープンしたトランプ・インターナショナル・ホテルがそれをしていて「トランプらしい」と思った記憶があるからだ。もともと国旗の好きな国民だから特にトランプ政権による異変と言うのは大げさかとも思うが、少し見入ってしまった。
食事の半分をボックスに詰めてシャルドネを2杯飲み終わって、部屋に戻った。まだ現地時間の19時だ。ネットワークのニュースを観つつ、明日会う友人に時間を確認するメールを送った。
それから水を買いにホテルと地下鉄駅の間にあるトレーダー・ジョーズに行き1.5リットルのボトルを買った。これは75セント。これは日本と同じ値段だったのに多少驚いた。
それから部屋に戻ってCNNの選挙特番を観ているうちに眠くなったので寝たが、3時間ほどで目が覚めた。私は正直、時差ボケに弱い。だからアメリカ到着の当日に人に会うなどはできない。ただ、一晩寝れば時差ボケが修正されるというほどのタフさもない。今もこちらの時間で午前3時だが、日本は16時。眠いはずがない。
(編集長追記)
編集長が書いた記事に「編集長追記」も妙ではありますが、ご寄付を頂いた方々への感謝をあらためて記しておきたいと思います。今回の取材はその為に寄付をしてくださった方々によって可能となりました。本当に有難うございます。
この取材メモは帰国後に行う報告のためのメモとして書いています。寄付をしてくださった方々をはじめ、常日頃からInFactにご支援くださっている方々に直接お話しする機会を是非持ちたいと思います。
この記事は取材メモです。ファクトチェックなどの記事とは違い、粗さは否めません。ファクトチェックは複数のデスクのチェックを受けて原稿化されますが、これは編集長が書いただけのものです。デスクのチェックは受けていません。取材メモということでご理解頂きたく、宜しくお願いします。
中間選挙は第二期トランプ政権に対する審判という以上に、トランプ大統領そのものに対する審判という印象をもっています。その思いでアメリカに来ましたが、さて現地の状況はどうなのでしょうか。こちらでトランプ政権を取材しているアメリカ人のジャーナリストや過去の3回の大統領選挙で何れもトランプ氏に投票したジョージアの友人、そして友人の住む保守層の岩盤層とも言われる地域の人びとは実際のところ何を考えているのでしょうか。
数日という短さではありますが、ご寄付を頂いた方々への感謝を込めて可能な限り取材したいと思います。

