インファクト

調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

米国ジャーナリズムの新たな潮流~非営利化するジャーナリズム⑤

●巨大NPOの現状

CPI(Center for Public Integrity)はルイスの狙い通りに成長を続けている。現在は米国公共放送PBS出身のビル・ビューゼンバーグ(Bill Buzenberg)が代表を務めており、記者50人余りを抱えるまでになっている。そして、政治と金の流れを追うワシントン担当を中心に、様々な調査報道を展開している。取材部門だけで以下のセクションに分かれている。
1. 環境問題
2. 金融問題
3. 国際問題
4. 社会・健康問題
5. ワシントン担当(Washington Desk)
6. データ分析
7. ウェブ情報
8. 映像ニュース
ビューゼンバーグは、「ワシントンDCで調査報道のみを専門に行う記者を50人も抱えている報道機関は他にない」と語った。

チャールズ・ルイス(左)とビル・ビューゼンバーグ(右)2013年10月ブラジルで開かれた国際調査報道会議にて 撮影:立岩陽一郎
チャールズ・ルイス(左)とビル・ビューゼンバーグ(右)2013年10月ブラジルで開かれた国際調査報道会議にて 撮影:立岩陽一郎

CPIの活動の幅は世界に広がっている。傘下にInternational Consortium of Investigative Journalismという組織を作り、各国の調査報道記者と連携して国境を越えた問題に取り組んでいる。最近では、ケイマン諸島に逃れる金の流れを追った調査報道を展開し、韓国では全斗煥元大統領の隠し財産を暴くなど成果を出している。
このInternational Consortium of Investigative Journalismという組織は、ルイスが考案したものだ。ルイスは、東欧諸国に調査報道の手法を教えに行った際に、調査報道を最も必要としているのは民主主義が成熟する前の段階の国々だと痛感し、CPIの中にその為の支援機関を作ろうと考えた。それはビューゼンバーグに引き継がれ、今や、世界の60か国から160人のジャーナリストや報道機関が参加する巨大なグループの司令塔となっている。日本からは朝日新聞が参加し、共同取材の結果を度々報じている。

Return Top