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米国ジャーナリズムの新たな潮流~非営利化する調査報道⑥立岩陽一郎

カークマンはルイスの作りだした非営利ジャーナリズムは、同じ非営利組織である大学との間に高い親和性があると考えたという。その思いについてカークマンは次のように話した。

「私は実際にジャーナリズムの場に身を置いたことはないが、メディア研究者として、また健全なジャーナリズムの存在が民主主義に不可欠だと考える市民として、今のジャーナリズムの現状に危機感を抱いていた。そうした中、チャック(ルイス)が始めた非営利ジャーナリズムについて強い関心を持って見ていた。ジャーナリズム学科を仕切っていたウェンデル(ウェンデル・コクラン教授Wendell Cochran)から、『それならば、チャック(ルイス)を連れて来て大学で新たな非営利ジャーナリズムを始めたらどうだろうか?』との提案があり、私は直ぐにゴーサインを出した」

カークマンからルイスに出された要望は、次の3点を満たせる団体を作るというものだったという。それは、調査報道を実践する組織であり、また同時に新たなジャーナリズムを生み出すものであり、なおかつ、大学の機関として学生の教育に資するものであることという。

この時、ルイスは、直ぐに提案書を書いてカークマンに送付している。カークマンの構想とルイスの危機感が一致したからだ。

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