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311緊急シリーズ「福島第一原発事故から6年」   「甲状腺がん多発 − 被曝の影響は本当に無いのか?」前編

チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ国立甲状腺がんセンターで医療支援活動に従事した菅谷昭氏(現・松本市長)の著書「原発事故と甲状腺がん」には、「翌年から増加」とある。

図1:小児甲状腺がん患者数集計グラフ (「放医研」環境セミナーシリーズNo.24)
図1:小児甲状腺がん患者数集計グラフ
(「放医研」環境セミナーシリーズNo.24)

2011年発行の「ロシア政府報告書」を読み解いた尾松亮氏によると、ロシアでも2年目からの増加を明示しているという。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が「小児甲状腺がんの最短潜伏期間は1年」としていることも、「翌年から増加」と一致する。

資料によっては、チェルノブイリ事故が起きた1986年の発症が確認できるものもある。図1に、放射線医療総合研究所(以下「放医研」)発行の文献中にあったWHOの集計グラフを示す。

ドイツ国立環境・保健研究センターの報告書にも、「ウクライナで1986年に18歳以下の19名が甲状腺がん手術をした」というデータ(図2)がある。

このように、「検討委員会」が5年目に述べた「福島では被曝からがん発見までの期間が1〜4年」は、チェルノブイリとの相違点ではなく、むしろ共通点であると言えるだろう。


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