事故前の割合に比べて20〜50倍の多発という解析結果から、「スクリーニング効果」で発見される増加とは桁違いに多いこと、WHOが「福島で事故の15年後に甲状腺がんリスクが上昇すると」した予測を、すでに2014年末に大幅に上回っていることもわかった。
福島の小児甲状腺がんの現状を知るためにIPPNWは、2016年2月にベルリンで開いた「チェルノブイリから30年目、福島から5年目」の国際会議に、津田氏を招いた。
この会議でも、「甲状腺がん検査をしてもらえない人がいると聞くが、どうなっているのか」、「日本政府はなぜ白血病や他のがんの調査をしないのか」など、健康調査のあり方に関する質問が多かった。
参加者に感想を聞くと、福島県立医大以外では検査を受けられず、データは公開されず、医大が外部との議論を行わないなど、納得できないことばかりだったようだ。
●国際環境疫学学会長から環境大臣への書簡
日本の国外から津田氏の論文に注目したのは、IPPNWだけではない。
国際環境疫学学会会長のフランシン・レイデン氏は、2016年1月に環境大臣、環境省保健部長および福島県県民健康調査課長に宛てて、日本政府に健康調査の改善を求める書簡を送っている。