東京都の小池百合子知事が2016年の立候補時に掲げたキャッチフレーズ「セーフシティ」公約の3番目は、「新たなテロへの脅威に備え公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化させる」。鉄道事業者との間での非常時映像伝送システムの導入に関しては目標以上の成果を挙げ、羽田空港テロ対処部隊庁舎も完成していた。(田島輔)
検証対象の公約内容
新たなテロへの脅威に備え公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化させる。
(2016年都知事選の公約「スマートシティ」(3))
検証
小池氏は都議会の所信表明演説で、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、「東京の玄関口である羽田空港の警備強化や、官民連携の基盤づくりを着実に進めます」と明言していた(平成29年第一回都議会定例会知事施政方針表明)。
その具体策としては、
①非常時に鉄道事業者の防犯カメラ映像を警視庁に伝送する、非常時映像伝送システムの拡充、
②東京国際空港(羽田空港)テロ対処部隊の庁舎整備、
を挙げていた(「都民ファーストでつくる『新しい東京』~2020年に向けた実行プラン~」)。
非常時映像伝送システムの拡充は目標達成
都が策定した実行プランでは、
- 2017年度中に3つの鉄道事業者と非常時映像伝送システムの構築、
- 2018年度に3鉄道事業者との間で非常時映像伝送システムの運用開始、
- その後は事業者のさらなる拡大を目指す
という流れになっていた。
実際の経過は、計画通り、2017年度中に東京交通局・ゆりかもめ・東京臨海高速鉄道の3事業者との間でシステム構築を完成させ、2018年度にはこれら3事業者との間で非常時映像伝送システムの運用を開始している。
それに加え、2018年度には、新たに東日本旅客鉄道、京王電鉄、京浜急行電鉄の3事業者との間でシステム構築を完了させており、京王電鉄では既に非常時映像伝送システムが導入されていることが確認できた(「2020年に向けた実行プラン」年次計画実績一覧表(2019年8月)、京王電鉄2019CSRレポート)。
そのため、非常時映像伝送システムの拡充については、当初の目標以上の成果を挙げていると評価できる。
羽田空港テロ対処部隊の庁舎も完成
東京国際空港(羽田空港)のテロ対処部隊の庁舎整備については、2017年度に設計・工事に着工し、2019年度中に完成させるはこびとなっていた。
庁舎の完成は遅れ、2020年1月に作成された「『3つのシティ』の実現に向けた政策の強化(2019年度)」では、庁舎の完成予定は2020年4月と、後ろ倒しになっている。だが、2020年6月13日時点で、テロ対処部隊の庁舎が完成しているのか、東京空港警察署に問い合わせたところ、庁舎は完成済みであるとの回答であった。そのため、当初の予定よりは遅れたものの、羽田空港のテロ対処部隊の庁舎は整備が完了したことが確認できた。
結論
鉄道事業者との間での非常時映像伝送システムの導入に関しては、計画されていた目標以上の成果を挙げている。また、東京国際空港の(羽田空港)のテロ対処部隊の庁舎の整備は計画よりも後ろ倒しになったものの、2020年6月時点で完成済みであった。
よって、「新たなテロへの脅威に備え公共施設や重要施設でのセキュリティー対策を本格化させる」との公約は達成されており、評定は「優」とした。