「LED化促進」は小池氏が4年前の都知事選で掲げた肝いりの公約の一つだ。ピコ太郎とのコラボ事業はムーブメントは起きず目標未達成であったが、LED化の予算は増額し着実に前進していることがわかった。(西村健)
検証対象の公約内容
街灯や公共施設のLED化。LED導入促進施策の実施。
(2016年都知事選の公約「スマート・シティー」(3))
検証
ピコ太郎との肝いり事業は不発
2017年、小池都知事の肝いりでLED(発光ダイオード)を配布する普及活動が行われた。ピコ太郎さんとのコラボを覚えている方もいるだろう。
目的は、二酸化炭素排出量を減らすこと。具体的な内容はまだ使える2個以上の白熱電球をLEDの電球1個と交換するというもの。1人1回である。
事業費が「18億円」、広告費「2000万円」と話題になった事業である。配布の目標は年間で100万個であったが、9か月で2割の約21万個しか配布できなかった。そのため、都は交換窓口には当初考えていなかった家電量販店を加えるなどのてこ入れを行い、目標達成のために事業を推進していった。
家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業は、平成30年に終了した。結果は以下の通りだった。
政策目標の達成度は不明だが…
小池都政の実施計画ともいえる「都民ファーストでつくる「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン~」には、LED化の推進について、次の通り様々な目標が設定されている。
2020年度(つまり今年)が期限の政策目標を掲げていたため、最終的な目標達成度はまだわからないが、現時点で確認できる情報は以下の通りである。
都有施設のLED照明普及率は、2016年度末の「4%」から2018年度末の「47%」に上昇した。目標の2020年度末「100%」に向けて普及を進めていることがわかる(「3つのシティ」の実現に向けた政策の強化(2020年度)~2020年に向けた実行プラン~」)。
街路照明のLED化は、2017年度実績で「600灯」であった(事業評価票「道路照明のLED化」(建設部道路管理部))。目標の2020年度末「2900灯」よりややペースは遅いが、2019(平成31)年度予算要求資料(2018年度に作成)によると、2019年度「2200灯」、2020年度「8800灯」と大幅拡大のための「予算要求」が行われていた。
結局、2020年度の目標達成ができるかどうかはコストの問題であるから、都の予算を見てみよう。LED化の予算は、2017年55億円、2018年62億円、2019年度96億円、2020年度102億円と大幅に増やしていたことが確認できた。
結論
環境に関心のある小池都知事の肝いり事業であったが、ムーブメントはおこらなかった。ただ、政策を実行し、予算も増額して目標達成に向けて前進していることも事実なので、この公約についての小池都政の取り組みは「良」と評定した。