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小池都政 公約検証[21] 老朽廃棄物処理場の集約には取り組んだか?

小池都政 公約検証[21] 老朽廃棄物処理場の集約には取り組んだか?

2016年の東京都知事選挙で小池百合子氏が掲げた公約の一つに「老朽廃棄物処理場の集約」というのがあった。しかし、知事が自ら、この話を都議会で取り上げたことはなく、少なくとも東京都が設置する最終処分場の「集約」が行われたという事実はなかった。(楊井人文)

検証対象の公約内容

老朽廃棄物処理場の集約。
2016年都知事選の公約「スマート・シティー」(4)

小池都政検証シリーズについて

検証

この公約は何を意味するのかわかりにくい。

まず、東京都が管理する最終処分場は「中央防波堤外側埋立処分場」と「新海面処分場」があるが、これについて何らかの「集約」が行われたという形跡は全くない。

小池氏は知事就任後の施政方針演説などを調べてみたが、この「廃棄物処理場の集約」について自ら一度も触れたことがなかった。

唯一、東京都議会(平成29年第2回定例会)における文書質問に答える形で、次のような回答がなされていたのが確認されたのみだ。

質問事項
一の10 知事公約に「老朽廃棄物処理場の集約」とあるが、そもそも知事の言う「老朽廃棄物処理場」とは何か、伺う。回答
「老朽廃棄物処理場」とは、老朽化による建替えや大規模な設備更新が必要なごみ焼却施設等を指したものです。ごみ焼却施設は、国の調査によると、おおむね20年~25年程度で廃止を迎えている施設が多いとされています。質問事項
一の11 「老朽廃棄物処理場の集約」とは、具体的に、いつ頃までに、どの廃棄物処理場を、どのようにして集約するのか、また、都はどのようにこの政策を具体化するつもりなのか、伺う。
回答
ごみ焼却施設等は区市町村が設置する施設であり、その管理・運営については、それぞれの自治体が行います。ごみ焼却施設の集約は、日野市、国分寺市及び小金井市で設置する浅川清流環境組合において、平成31年度から共同処理を開始予定です。また、昭島市が可燃ごみの焼却を西多摩衛生組合に依頼する計画であり、その協議が進められていると聞いています。都は、区市町村が行う廃棄物処理事業が円滑に進むよう、広域自治体としての立場から専門的助言を行うなど、技術的な支援を行います。

ここに例示されている、日野市、国分寺市、小金井市の共同処理については、浅川清流環境組合が運営する「新可燃ごみ処理施設」とみられ、2020年4月から本格稼働した(同組合に確認)。だが、これは「老朽廃棄物処理場の集約」を意味するのか定かでないし、この事業自体、もともと小池知事就任前から計画されていたものに過ぎない。任期中もこの事業と小池知事の接点が見られず、何かをやったという跡が確認できない。

結論

公約が非常に曖昧であり、何がしたかったのか不明だ。知事就任後自ら言及したこともなく、「廃棄物処理場の集約」のために取り組んだ跡もみられないため、本公約の評定は「不可」とした。

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