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小池都政 公約検証[23] 林業は若者の就労の場になったか?

小池都政 公約検証[23] 林業は若者の就労の場になったか?

小池百合子氏は2016年都知事選で「スマート・シティ」構想を掲げた中に「東京の森林を守り、若者等の就業の場とする」という公約があった。小池氏が木材のイベントに出席するなど発信に努めたことは確かだが、「若者等の就業」につながったかは定かでない。(楊井人文)

検証対象の公約内容

東京の森林を守り、若者等の就業の場とする。
2016年都知事選の公約「スマート・シティ」(9)

小池都政検証シリーズについて

検証

まず、東京都に森林はどれくらいあるのだろう。東京都の森林面積は約8万haで、都の約4割を占めるが、その大半は多摩地域西部にある(統計データ「東京の森林・林業」)。森林面積自体は、過去30年、大きな増減はない。

小池氏はこの公約で何をしようとしていたのか。都議会の所信表明における「森林」に関する主な発言は、次のようなものであった。

木材生産やCO2の吸収、憩いの創出といった多面的な機能を持つ山間部の森林をしっかり守ることで、林業の振興を図り、東京の森林や多摩産材の魅力を広く発信してまいります。(平成28年第三回都議会

江戸東京野菜の生産や多摩産材の活用、新たな担い手の確保など、東京の農林水産業を活性化しながら、農地や森林を守らなければなりません。多摩川上流域における民有林の購入やボランティアによる森林保全を通じて水源を育むなど、都内全体で貴重な緑を守る気運を高めてまいります。(平成29年第一回都議会

全国的に林業就業者数は減少、高齢化している。東京都では舛添知事時代に「森づくり推進プラン」(2014年)が策定され、「東京における持続的な森林整備と林業振興」とうたわれていた。小池氏の公約に「若者等の就業の場とする」とも書かれているから、林業振興にどれだけ取り組んできたかが問われるといえよう。

調べてみると、小池氏就任後の2017年度に「林業新規就労者育成支援事業」、2018年度から「森林・林業次世代継承プロジェクト事業」、2019年度から「東京の森林の将来展望実行プログラム」をスタートし、3年連続予算を増やしている。次世代を担う子供たちが多摩産材と触れ合える場を創出するためのモデル的な取組を支援するというものだ。東京の農林水産総合サイトとして「TOKYO GROWN」というサイトも作られていた。

また、東京都は、木材に特化した一大イベントとして「WOODコレクション(モクコレ)」を開催している。これは小池氏就任前の2016年2月が第1回で、小池氏が始めたわけではないが、2018年の第3回2019年の第4回は小池知事も出席しており、「全国育樹祭」とも関連づけて、一定の取り組みはしていたと評価できるだろう。

小池知事の肝いりであった「2020年実行プラン」には、林業振興に関しては、新規就労者を対象とした研修(4年間で19名)を目標として設定し、2年間で8名参加が確認できた。

結論

林業振興に向けて木材の魅力を発信する「WOODコレクション」に参加するなど、主に「発信」に重きを置いた取り組みは見られた。成果はまだ乏しいが、難しい課題に一定の取り組みをしたことを踏まえ「良」と評定した。

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