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小池都政 公約検証[15] 「時差出勤」「満員電車ゼロ」に向けた施策に取り組んだか?

小池都政 公約検証[15] 「時差出勤」「満員電車ゼロ」に向けた施策に取り組んだか?

2016年の東京都知事選挙で小池百合子氏は「満員電車をゼロへ。時差出勤、2階建通勤電車の導入促進」を公約に掲げていた。任期中にこうした取り組みを行い、効果は出ていたのか、調べてみた。(宮原ジェフリー)

検証対象の公約内容

満員電車をゼロへ。時差出勤、2階建通勤電車の導入促進。
2016年都知事選の公約「ダイバー・シティ」(7)

小池都政検証シリーズについて

検証

時差出勤キャンペーンはしたが…

東京都は、2017年からラッシュ時の混雑緩和のための取り組み「時差Biz」を鉄道事業者などと共同でスタート。2020年1月時点で参加企業は1498社になった(「3つのシティ実現に向けた政策の強化」)。2019年からはテレワーク、時差Bizなどを総称して「スムーズビズ」という取り組みをスタートさせている。

テレワーク導入企業の割合も2017年には6.8%だったが、翌2019年には速報値で25.1%まで伸びている。(参考:テレワーク活用に向けた支援(TOKYOはたらくネット)。これはコロナウイルスの感染拡大でテレワーク導入が大幅に拡大する前の数値であるため、小池都政での施策として評価できる要素となりうるだろう。

ただ、国土交通省の調査では、東京圏の鉄道の混雑率は横ばいで推移し、小池都政下で改善していない。東京圏の主要区間の平均混雑率は163%で、大阪圏(126%)、名古屋圏(132%)と比べても大きな開きがある。「ピーク時における混雑率180%以下」という国の目標を上回る路線が11路線ある(2019年の国交相発表資料より)。

【目標混雑率180%を超えている東京圏の路線】(単位:%)

2019年 2018年
東京地下鉄東西線 199 199
JR東日本横須賀線 197 196
JR東日本総武緩行線 196 197
JR東日本東海道線 191 187
東京都日暮里舎人ライナー 189 187
JR東日本京浜東北線 185 186
JR東日本南武線 184 189
JR東日本埼京線 183 185
JR東日本中央快速線 182 184
東急田園都市線 182 185
JR東日本総武快速線 181 181

(出所:国土交通省2019年7月18日報道発表

国土交通省報道発表資料(2019年7月18日)より

2階建通勤電車は導入に向けた動きなし

公約で明記されていた「2階建通勤電車の導入促進」については具体的に取り組まれた形跡はない。東京都交通局は都営地下鉄や日暮里・舎人ライナーを運営しているが、2階建車両を導入するという動きも全くみられなかった。

東京都が2019年12月に発表した「『未来の東京』戦略ビジョン」にも、「満員電車解消」を「目指す2040年代の東京の姿」の長期的ビジョンとして盛り込んだものの、それを実現する道筋を示せているとは言い難い。

結論

実現可能性の低い公約で「大風呂敷」であったとの批判は免れない。時差出勤などの推進により混雑緩和に向けた取り組みはしたが、結果として混雑率は改善していない。「満員電車解消」の実現には程遠く、本公約の評定は「可」とした。

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