東京都の小池百合子知事が2016年の立候補時に掲げた「セーフ・シティ」の公約の4番目は、「町会・消防団の機能を高め、支援する」だ。町会については小池都政で始まった取り組みもあるが、消防団に関しては特段の対策は取られていなかった。(宮原ジェフリー)
検証対象の公約内容
町会・消防団の機能を高め、支援する。
(2016年都知事選の公約「スマートシティ」(4))
検証
東京都では、町会・自治会支援として、次の3つの取り組みを行っている。
・地域課題解決のための取り組みなどへの助成金「地域の底力再生事業助成」 (2007年から開始。2017年から「地域の底力発展事業助成」に改称)
・地域社会の担い手を育成するために専門家を派遣する「地域活動支援アドバイザー派遣事業」(2015年から開始)
・企業での経験やノウハウを活かしたボランティアが課題解決に向けた支援を行う「地域の課題解決プロボノプロジェクト」(2017年から開始)
プロボノプロジェクトは小池都政で開始するも、成果不明
このうち、小池都政で新たに打ち立てられたのは3つ目の「地域の課題解決プロボノプロジェクト」で、これは「プロボノ」と呼ばれる企業の社員等の業務経験やスキルを活かしたボランティア活動を町会・自治会に派遣し、課題解決に貢献することを目的としている。
具体的には、町内会におけるマーケティング基礎調査や、営業資料の作成、業務棚卸しと運営改善提案といった個別的な支援に加え、先進事例をモデルに、町会・自治会が主体となって課題解決につながる成果物の制作を作成する伴走支援が行われており、これまでに合計48件の支援がなされてきた。
ただ、その成果は不明だ。町会の機能を評価する重要な指標となる、町会の組織率については小池都政になってからの数字は確認できなかった。
23区の消防団員は減少続く 特段のテコ入れなし
消防団については、東京都として前都知事の時代から目立った変革は見られない。23区の消防団員は2014年から2018年まで年間200人前後の減員が続いている。
消防団費は年によって多少の増減が認められるが、小池都政で特段のテコ入れが図られたとは認められない。
結論
町会の機能を評価する重要な指標となる、町会の組織率については小池都政になってからの数字は確認できないが、新たな取り組みが継続的に行われていることは評価できる。一方、消防団については少子高齢化の影響によると思われるが、減員が続いており、小池都政で抜本的な対策が打たれてはいない。よって、本公約に関する小池都政の評定は「可」とする。