インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
(1)「ロシア製ワクチン注射したプーチン大統領の娘が死亡」
日付
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8/17 |
発信者
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孫向文(漫画家) |
媒体
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拡散数
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4100RT | |
内容
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「ロシア製の史上初の新型コロナのワクチンを注射したプーチン大統領の娘が死亡した。」などとする投稿。 |
【検証】ソースは実態不明サイトによる「内部情報」のみ
上掲の孫氏のツイートのほか、神戸市の医院「ナカムラクリニック」のアカウントが「プーチンの娘、死去 2度目のコロナワクチン接種後に」「これ、本当なら大ニュースでしょ」と述べた投稿も約1200RTされている。
情報拡散の発端となった海外サイト「Toronto Today」では、「ロシア内部の筋」からの情報として、ロシアのプーチン大統領の娘カテリーナ・ティコノヴァさんが新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種後に亡くなったと述べている(削除済み、キャッシュ)。しかし、この実態不明のサイト以外にソースや公式発表などは存在せず、情報の信憑性は乏しいと言わざるを得ない。
記事には一時同様の主張をするタロットカード占い動画のリンクが追加されたり、ファクトチェックサイト「Snopes」に誤りと判定されたことを批判する文章が書かれたりしていたが、結局は記事ごと削除されている。
ロシアでは、新しく開発されたワクチンがプーチン大統領の2人の娘のうちの1人(カテリーナさんのことかは不明)に投与されたと発表されている。2回の接種の後それぞれ一時発熱があったが平熱に戻ったとされていて、その後の経過は明らかにされていない。(【※8/31追記】ロシア国営タス通信は27日、プーチン大統領がワクチンを接種した自らの娘について「元気にしていて、すべて順調だ」と述べたことを伝えた。)
詳細は、BuzzFeedの検証記事も参照のこと。
(2)「福岡・群馬で感染者が中傷苦に自殺 など」
日付
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3月頃~ |
発信者
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不明 |
媒体
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Twitterなど |
拡散数
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不明 |
内容
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福岡県や群馬県で、新型コロナウイルス感染者やその家族が中傷を苦に自殺や退職などに追い込まれたとする複数の投稿。 |
【検証】取材で誤りと判明
西日本新聞(掲載期限終了、キャッシュ)の取材によれば、福岡県嘉麻市の理髪師の男性は新型コロナウイルス感染後「感染を責められて自殺した」「店に中傷の落書きや張り紙をされた」などの噂が近所やSNSで流れたが、事実ではないという。
また群馬県内では、感染者について「保育士やその家族が自殺した」「百貨店店員が依願退職した」「生徒が退学になった」といった噂が流れたが、いずれも誤りだという(テレビ朝日、ABEMA NEWS)。
過去には大分・千葉・高知でも同様に「感染者が自殺」という誤った噂が流れている。
(3)「台湾軍が中国戦闘機に対空ミサイル発射」
日付
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8/18 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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YouTube |
拡散数
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61万回再生 |
内容
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「台湾領空侵犯した中国戦闘機に台湾軍が対空ミサイルを発射!中国戦闘機を追い返した!」などと題する動画。 | ||
引用
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【検証】実際には「発射」の発表なし
動画はイギリスのタブロイド紙「EXPRESS」の8月12日の記事を紹介。画面上には記事をGoogle翻訳にかけたものが映され、タイトルは「第三次世界大戦の瀬戸際:中国のジェット機が敵の領土に入った後、『ミサイルによって追跡された』」と訳されている。
この「ミサイルによって追跡された」に相当する部分は、「EXPRESS」の元の記事では「tracked by missiles」となっている。これは確かにミサイルそのものが航空機を「追跡した」と読める表現だが、同時にレーダーなどで捕捉し「監視を続けた」とも解釈できる(参考)。
実際、台湾国防部の発表でも中国機を「監控」(=監視)したとするだけで、ミサイルを発射したとは述べられていない。
各国メディアでも「発射」との報道は見当たらず、台湾軍が実際にミサイルを発射したとは考えにくい。詳細は、BuzzFeedの検証記事を参照のこと。
(4)「731部隊は大学卒のみの採用」
日付
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8/15 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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9200RT | |
内容
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「14歳で731部隊に入隊した元少年兵」の証言を紹介した現代ビジネスの記事に対して、「この記事の嘘は『14歳で731部隊に入隊となっていますが、731部隊は大学卒のみの採用でした。嘘は明白なのです。」とする投稿。 | ||
引用
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※アカウント名等モザイク処理は筆者による |
【検証】10代の「少年隊」が存在
旧日本軍で生物兵器開発などに携わった「731部隊」に10代の少年らから成る「少年隊」と呼ばれる部署があったことは、複数の資料や証言から明らかになっている。
BuzzFeedの取材によれば、高等小学校卒業後14~15歳でこの「少年隊」に入隊した少年が多数いたことは現存する資料に記録されており、その中には現代ビジネス記事で証言した「元少年兵」の名前もある。
少年らは軍人ではなく、軍隊で助手などを行う軍属であったため、「少年兵」という呼び方は必ずしも正確ではない。しかし、大学卒でないことを理由に証言を「嘘」とするのは誤りである。
その他
FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。
また過去のまとめでも、新型コロナウイルス関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年9月2日の予定です)