インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
(1)「オバマ前大統領逮捕」
日付
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12/1 |
発信者
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もえるあじあ(まとめサイト) |
媒体
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Web記事 |
拡散数
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700RT |
内容
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「速報★カナダ報道『オバマ前大統領 逮捕。元CIA職員と共謀し、機密情報を中国に伝達した容疑』」と題する記事(削除済み、キャッシュ)。 |
【検証】無関係の文章を改変
作家の坂東忠信氏は「要確認情報」としながら同様の言説を紹介し、約2000RTされている。
情報の出所はいずれもカナダのあるニュースサイトとされているが、そのサイトの文言は8月に米司法省が発表した無関係の文章の一部を改変したものに過ぎない。
司法省の発表は、元CIA職員の人物が別の元CIA職員と共謀しスパイ行為を行った容疑で逮捕・起訴されたというもの。この容疑者の名前がオバマ氏に改変され、日付も「11月28日」に書き換えられるなどしている。
詳細はBuzzFeed、ロイター通信、AFP通信などによる検証記事を参照。
(2)「CNNがトランプ大統領再選の可能性を放送」
日付
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11/28 |
発信者
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我那覇真子(政治活動家) |
媒体
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拡散数
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2000RT | |
内容
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「CNNがトランプ大統領の再選の可能性を放送!!」などとする画像付きの投稿。 | ||
引用
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【検証】9月に放送されたもの
同様の言説は、複数のまとめサイトや、医師の高須克弥氏ら著名人によっても拡散されている。これらの投稿は、あたかもCNNが11月の米大統領選の後に「トランプ大統領の再選の可能性」を伝えたかのような誤解を招く表現となっているが、実際には9月28日に放送された内容である。
大統領選の投票でトランプ氏が敗れた場合にあり得るシナリオとして、CNNが論じたのは次のようなものだ。選挙人を決める投票でトランプ氏が敗れても、これを無視し各州の議会が独自に選挙人を選出することは憲法上可能なため(参考)、2つの選挙人名簿のどちらを認めるか対立が生じる。もし期限内に選挙人が決まらなければその州は空白となり、トランプ・バイデン両候補とも全米で過半数の選挙人を獲得できない事態が起こり得る。このような時には連邦議会下院が大統領を選出することになっており(参考)、各州1票の投票によりトランプ氏が再選される可能性がある。
投票による選挙人獲得争いで既にトランプ氏の敗北が確定的となった現在でも、こうした手段によって選挙結果が逆転する可能性は理論上まだ存在する。しかし、選挙後の現段階でCNNがその可能性を報じたかのような表現はミスリードと言えるだろう。
詳細はBuzzFeedによる検証記事も参照。
(3)「トランプ大統領 選挙中ラリーの演説で毎回横田めぐみさんに言及」
日付
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11/26 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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1700RT | |
内容
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「現地のサポーターさんの話によると、トランプ大統領は国連の演説だけではなく、選挙中のラリーの演説も毎回、横田めぐみさんのお話をされたそうです。心残りだと。救出したいんだと そして安倍さんの名前も毎回出していたと。」などとする投稿。 |
【検証】拉致問題への言及は見当たらず
トランプ大統領のラリー(選挙集会)での演説は書き起こしサイトで全文を確認できるが、北朝鮮に関する言及は「アメリカにはロシアや中国や北朝鮮が羨むような強力な軍備がある」「北朝鮮と戦争になると言われたが友好関係を築いた」といった内容がほとんどで、拉致問題に触れた内容は見当たらない。また、安倍晋三前首相の名前が出てくることはあるが、いずれも拉致問題とは関係の無い文脈である。
詳細は検証ブログのネットロアをめぐる冒険による記事を参照。
(4)「ネバダ州 不正集計が発覚で15万票が無効」
日付
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11/18 |
発信者
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News U.S.(まとめサイト) |
媒体
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Web記事 |
拡散数
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Twitterで1600RT |
内容
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「【速報】ネバダでも不正集計が発覚! 15万票が無効にされていた!」と題し、「どうやらネバダでも不正集計らしい。クラーク郡の15万票余りが正当な票だとみなされず無効化されたそうだ。理由はよく分かっていないが、この中にもしもトランプ票が多く紛れているのであれば不正集計を疑うしかないと言える。」などとする記事。 |
【検証】大統領選とは無関係な地方選挙での認定保留
記事は一般ユーザーによるTwitter投稿で広まり、最大約1600RTされている。
しかし、記事の記述は様々な点で不正確である。クラーク郡で実際に起きたのは、大統領選と同時に行われた郡政委員選挙において、一部の地区での選挙結果認定を保留する決定である。大統領選には影響せず、保留の理由も「不正集計」ではない。
クラーク郡の郡政委員選挙では、7つある地区のうちの1つで、約15万3000の投票に対し勝敗がわずか10票差という非常に際どい集計結果が発表された。対して、記録上の投票数と実際の票数の不一致が139あった。事務的ミスが原因と見られるこのような不一致はどの選挙においてもよくあることで、通常は結果に影響しないものとして特に問題にならないのだが、今回は票差があまりに小さかったため郡は集計結果の認定を一旦保留。投票のやり直しの可能性も含め検討が行われている。
仮に今後再投票が行われると、この地区の郡政委員選挙において「15万票が無効」という事態は実際に起こる。しかし、その場合でも大統領選のやり直しは行われない。詳細は現地メディアLas Vegas Review-JournalやKSNVの報道を参照。
大統領選のネバダ州での結果は、24日にバイデン氏の勝利が認定されている。
(5)「(新型コロナ感染者)外国人は8割だった」
日付
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11/22 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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2100RT | |
内容
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「群馬県山本一太知事が言っていた通り、外国人は8割だったと。」などとする画像付きの投稿。 | ||
引用
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【検証】大半は国籍未確認 ほぼ日本人か
新型コロナウイルス感染者のうちかなりの割合が外国人であるという誤解は4月頃にも拡散されており、その時はBuzzFeedやハフポスト、またインファクト別稿で検証されている。
記事中で厚労省担当者が説明しているように、各自治体では感染者の国籍を必ずしも確認しておらず、「日本国籍が確認されている人」「外国籍が確認されている人」の他に多くの「どちらとも確認されていない人」がいる。上掲投稿ではこれを全て外国人と解釈し「8割」としているが、実態に沿った数字ではない。
投稿中のグラフの右端にあたる11月11~18日について、厚労省のまとめ(p.3)では「日本国籍が確認されている者」が2296人。対して「外国籍が確認されている者」は152人で、国籍が確認されている感染者のうちの約6.6%に過ぎない。感染者全体でも、同様にほとんどは日本人と考えるのが自然だろう。
なお、群馬県の山本一太知事は9月時点の会見で、県内の週の新規感染者のうち8割が外国籍という推定を発表していたが、その後は「何とか感染拡大を食い止めることができた」と評価している。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年12月9日の予定です)