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[FactCheck] 「川崎市役所は400人が朝鮮人」は根拠不明

[FactCheck] 「川崎市役所は400人が朝鮮人」は根拠不明

2020年3月、川崎市役所職員のうち400人が「朝鮮人」であるとする投稿が拡散した。しかしその根拠は提示されておらず、市の担当者は、投稿発信時点での外国籍の職員の数は26人であったと回答している。(日高 大)

チェック対象
「川崎市役所は400人が朝鮮人」
(Twitter、2020年3月31日投稿)
結論
【根拠不明】 発信内容を裏付ける根拠は見つからなかった。また市の担当者は取材に対し、市役所に在籍する外国籍の正規一般職員は投稿日時点で26人、直近では同25人であると回答している。
匿名アカウントによるこの投稿は、本稿執筆時点で1500件以上のいいね、900件以上のRTを獲得している。

400人という数字の出どころ

当該のツイートに根拠は提示されていない。またTwitterで「川崎市役所 朝鮮人 400人」と検索すると複数の投稿がヒットするが、いずれも根拠は示されていないか、根拠を示さない個人ブログ等を引用したものであった。

Twitterより(モザイク処理は筆者による)

川崎市役所への問い合わせ

投稿が発信された時点、および現在の職員数について、川崎市総務企画局人事部人事課の担当者はインファクトの取材(2021年5月26日実施)に対し以下のように回答している。

本市の令和3年5月26日時点での外国籍の正規の一般職員は全任命で25人在籍しており、その内韓国籍が21人、中国籍が3人、その他が1人となっております。また令和2年3月31日時点での外国籍の正規の一般職員は26人在籍しており、その内、韓国籍が23人、中国籍が3人となっております。

川崎市は1996年に採用職員の国籍条項を撤廃。当時全国に先駆けた取り組みだったが、外国籍職員への待遇差は今も残るとされている(参照)。

投稿の「朝鮮人」が具体的にどのような人のことを指しているのかは不明だが、韓国籍や朝鮮籍を持ついわゆる在日韓国・朝鮮人のことを指すとする場合、市の回答は「400人」とは大きな差がある。

結論

「川崎市役所は400人が朝鮮人」という主張の根拠を示しておらず、川崎市の回答内容とも食い違っている。これらのことから、投稿は「根拠不明」であると判定した。

※当初、原稿で「朝鮮籍」とすべき点を「北朝鮮国籍」と誤記していました。これについて修正しています。関係者の皆様にご迷惑をおかけした点をお詫びします。

(冒頭画像:チェック対象ツイートのスクリーンショット)

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

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