韓国での1年間の交換留学を終え、1月23日、日本に帰国した。出発前にPCR検査、関西空港に到着時もPCR検査を受けた。空港では8段階のチェックを受け、用意されたホテルでの隔離生活が始まった。(浅田汐音)
韓国のコロナ対策
元々は1月10日のアシアナ航空の便を予約していたが、新型コロナウイルスの影響で減便になり、私の予約していた便はキャンセルされたとの連絡があった。そのため、1月23日の韓国・仁川空港発、日本・関西空港着のアシアナ航空OZ112便を再度予約した。
帰国前の韓国の新型コロナウイルスの状況について最初に少し説明をしておく。韓国ではレストラン、カフェ、映画館などを利用する際にQRコードで訪問登録をする「QRチェックイン」が義務化されている。また、飲食店の営業時間短縮、防疫パス(ワクチンパスポート)制度が昨年12月13日から開始されており、新型コロナウイルス対策は徹底して行なわれていた。しかし、オミクロン株の感染拡大により感染者はなかなか減らず、私が帰国した1月23日の週(1月17日から23日)の感染者数は4千人から7千人の間を行ったり来たりしていた。
帰国2日前に得た陰性証明
日本政府は入国の際に72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提出を義務付けている。帰国前に必要な書類の情報は厚生労働省の「水際対策に係る新たな措置について」というページを参考に準備した。
独自の陰性証明書のフォーマットを設けているため、陰性証明書を発行してくれる病院や検査所を探さなければならない。私は、日本に入国した韓国人のブログに載っていた、ソウル市内にあるSeegene Medical Foundationという検査センターで、入国2日前の10時に検査を受けた。冒頭の写真がそれだ。
Seegene Medical Foundationは、検査結果と陰性証明書のPDFファイルをEmailで送ってくれるため、陰性証明書を取りに再訪問しなくてもよい。仁川国際空港にも検査所があるが、証明書をもらいに再度訪問しなくてはならないため、こちらを選んだ。出国を控えた韓国人や外国人が多く訪れていた。私もパスポートと事前に予約した内容を見せて検査を受けた。出国のためのPCR検査ということもあり、緊張したが、本人確認から検査まで合わせて5分程度で終わったため、少し拍子抜けした。検査から3時間後の13時4分に検査結果がメールで送られてきた。韓国では感染拡大が続いていたため少し不安だったが、幸い結果は「陰性」だった。
帰国当日
予約したのは、8時45分仁川空港発、10時30分関西空港着の便だ。朝早くの便ということもあるが、コロナ禍の仁川空港はとても静かだった。チェックイン・カウンターも閑散としていた。カウンターでは、「日本に入国する際に必要な陰性証明書を確認します」と係員に陰性証明書の提示を求められ、日本に入国が出来るか確認された。
ぜこんなに朝早い飛行機なのかと予約した際に不満に思ったが、日本に到着した際にそれに助けられる結果となる。しかしこの時はそれを知らない。
手荷物検査から出国審査まで10分もかからず終わった。コロナ禍以前は1時間程かかっていた。出国手続きに関しては特に以前と変わったことはなかった。出国する人があまりいないため、手荷物検査も出国審査も、職員が暇を持て余している様子だった。
機内で配られた書類
乗客は大体40〜50人程度で、韓国からの帰国者や乗り継ぎの乗客などがいた。エコノミークラスでは、3人で座れる座席は真ん中を空席とし、ソーシャルディスタンスを保っていた。搭乗し、乗客が着席するや否や、キャビンアテンダントが4種類の書類を配り始めた。1枚目は税関申告書でコロナ禍とは関係なく必要な書類だが、残りの3種類の書類はコロナ禍対策の日本入国の独自の書類だった。特に説明のないまま配られた。
1つは検疫法第12条の規定に基づく質問。72時間以内に検査を受けて発行された陰性証明書を取得したか、入国後必要なアプリをダウンロードできるかなどを「はい/いいえ」で回答する。
もう1つは健康カード。発熱の有無や2週間以内に感染者との接触がなかったかを確認する問診票の様な書類だった。最後が誓約書だった。自宅や隔離施設で指定された期間待機することや、アプリを利用し健康状態の報告や位置情報の確認要請に応答することを誓約する。
以上の3種類の書類を、離陸後ベルトサインが解除されてすぐ、座席のテーブルを広げ記入した。キャビンアテンダントからの案内は無いため、私の隣にいた、日本語も英語も読めない韓国人の乗客は戸惑っており、私がどこに何を記入したら良いのかを説明した。
機内食が提供された。私の隣に座っていた乗客も、私も、機内食は食べなかった。私は機内でマスクを外すのが嫌なので断った。他の乗客はマスクを外し、機内食を楽しんでいる様子だった。機内は特段静かというわけではなく、特に仁川空港で乗り継ぎをした欧米の乗客は機内でも会話を楽しんでいた。
関空到着
約2時間のフライトを終え、無事に関西空港に到着した。着陸後、すぐ座席から立ち降機しようとする乗客がほとんどだったが、検疫所の職員が「前の便の手続きに時間がかかっているため、しばらく座席に座って待機してほしい」とアナウンスした。どのくらい待つことになるのだろうと思っていたら、10分もしないうちに降機のアナウンスがされたた。
飛行機を降り、関西空港のターミナルに入った。まだ日本に帰国したという実感はなかった。ターミナルに案内されたものの、「前の便の手続きが長引いているため、もう10分から20分、待機してほしい」と通路で待たされた。しかし、20分経っても、次のステップに案内される気配は無かった。いつまで待機すれば良いのか分からなかったため、乗客の中には床に座り込んだり、ため息をついたり、不満を漏らす人もいた。通路で待機している間に、私は家族にスマートフォンで日本に無事着いたことを報告した。結局1時間ほど待って、ようやく次のステップに案内された。
8段階の検疫手順
ここから本格的な検疫が始まる。全部で8段階あり、検査結果の待機ゲートまで、約1時間半かかった。
検査手順の案内板が各段階に設置されているため、今自分がどの段階にいるのか把握できた。
ステップ1:書類の確認
ひたすらターミナル内の通路を案内にしたがって歩くと、最初のブースが見えてくる。1人ずつ、係員のいるブースに案内され、「陰性証明書の確認と、機内で記入した書類を確認します」と、必要書類に不備がないかを確認された。
係員はマスクとフェイスシールドを着用しており、全てのブースにアクリル板が設置されていた。対応や案内をしてくれた係員はほとんどが外国人だった。対応はもちろん日本語で行ってくれたが、発音などから外国人であると分かった。この入国の際のシステムが一種の雇用創出になっているのかもしれない。
必要書類に不備が無ければ、首から下げるストラップが配られる。到着した便によって首から下げるストラップの色が違うようだった。私のストラップはオレンジ色だった。他には赤色や緑色のストラップがあった。
ステップ2:PCR検査の検体を採取する
書類チェックの次のステップは、PCR検査の検体採取だった。受付で症状がないかどうかを記入した健康カードを渡すと、検査番号が付いた、検査に必要なキットを渡される。私の検査番号は「202番」だった。空港を発つまで基本的にこの番号で呼ばれるため、覚えておく。
検査キットは、唾液採取容器と漏斗で、容器に漏斗をセットして、規定のラインまで唾液を採取する。ブースには梅干しとレモンの写真があり、係員が「もし唾液が出ない場合は喉や顎をマッサージしてください」と呼びかけていた。唾液がなかなか出ず苦労している人も多かった。私には梅干しやレモンの写真の効果はなく、喉や顎をマッサージして、検体を採取した。
ステップ3:検温する
私が撮影した検疫手順の案内によると、検体採取の次は検温となっている。しかし、次から次に手順をこなしていくため、原稿を書いている今の段階では、いつ体温を測ったのか覚えていない。
まだステップは半分にも満たない。
(つづく)