2011年の東日本大震災で起きた福島第一原発における事故。この事故の翌日からアメリカ政府が日本各地の20000件を上回る地点で放射線量を計測したデータがある。InFact(旧ニュースのタネ)は、このデータの分析に着手。その第一弾を伝える。事故直後の首都圏で計測された放射線量は、我々の予想を上回る数値だった。(山崎秀夫、立岩陽一郎)
データは、近畿大学で長年にわたって放射性物質の分析に携わり、福島第一原発事故後の首都圏での放射性物質の調査などに携わっている山崎秀夫氏が米エネルギー省のウエブサイトからダウンロードしたもので、今はその一部しか公開されていない。
データによると、アメリカ政府は、事故発生直後の2011年3月12日から5月11日までの2か月間にわたってのべ22000か所で調査を行っていた。その場所は福島県や宮城県、茨城県にとどまらず、東京都や神奈川県などの首都圏一帯を含む広い地域だった。
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調査は初期の段階は米軍によって行われ、その後は米エネルギー省も加わって行われたとみられる。
調査対象は、土壌や大気中の放射性物質に由来する地上での空間線量や放射能濃度の他、航空機を使った浮遊粉じんの放射能濃度や核種分析などだ。
今回InFactが分析したのは、3月12日から4月1日までについてのガンマ線とベータ線についての約10000か所の数値。
その結果、政府が、被ばくの許容量としている0.23マイクロシーベルト/時を超える数値を示した場所は、6698件にのぼった。何れも空間の線量だ。
このうちガンマ線について見る。
東京の米大使館、横田基地、神奈川県の厚木基地周辺といった首都圏などでの数値を見てみた。この0.23マイクロシーベルト/時は、国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨している緊急時の一般人の許容被曝線量である年間1ミリシーベルトを時間に換算したものだ。
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特に東京都福生市などにまたがる横田基地では、3月14日に、4.9マイクロシーベルト/時の数値を計測していた。上記許容量の実に21倍だ。仮に、この数値を年間で浴び続けた場合の被ばく量は42.9ミリシーベルトを越える極めて高いものとなる。ちなみに、福島県内で今も立ち入りが禁止されている帰還困難区域は年間20ミリシーベルト以上だ。
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