私が向かったのは湖北省の西南部にある宜昌市。人口400万の宜昌には中国を代表する大河、揚子江(長江)が流れる。市の中心部から車でしばらく走り、豚が投棄されていたという点軍区に近づくと、道路添いに立てられた青地に白い文字の立て看板が目に入った。「死んだ豚を投棄したら、罰金3000元(日本円で約5万1000円)」と書いてある。つまり死んだ豚を投棄することは違法である、と明確に告知しているわけだ。宜昌にはおよそ2000戸の養豚農家があるというが、こんな看板が必要なほど頻繁に豚が投棄されているということなのか。
点軍区で車を降り住民たちの話を聞いた。すると多くの人がこれまでに何度も豚の死骸が土手に捨てられていたり、川を流れていたりするのを見ていた。確かに私も過去に別の取材でこの付近に来た際に、たまたま川の中に膨れた豚の死骸を目撃したことを思い出した。