食の安全が深刻な事態となっている中国。昨年、各地で豚の死骸の不法投棄が発覚したが、問題は投棄ばかりではなかった。調べていくと病死豚を闇で不法販売する事件も発生していたのだ。渾身の現地取材の第二弾。(アイアジア/宮崎紀秀)
●死んだ豚の肉が麺の具に
取材を進めていくと死んだ豚を巡り中国では更に深刻な事態が生じていることが分かった。その実態を調べるため宜昌から列車に乗り、湖北省で武漢に次ぐ第二の都市である襄陽へ向かった。目的はそこにある農貿市場。農貿市場とは、個人や小規模農家が作物を売りに来るいわゆる自由市場だ。
襄陽には夜遅く到着したため市内で一泊し、翌日、市場に向かった。料理大国だけあって朝の市場はさすがに活気がある。日本では見たこともない野菜が土のついたまま山積みにされていたり、手づかみにされた腹いせに暴れて水槽の水を精一杯まき散らせた魚が、一瞬にして巨大な出刃包丁に切り刻まれたりしている。