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【Fact Check】岸田首相「たとえバ〇息子でも私の大切な一人息子なんです クビにはしたくはなかった」は根拠不明

【Fact Check】岸田首相「たとえバ〇息子でも私の大切な一人息子なんです クビにはしたくはなかった」は根拠不明

岸田文雄首相が「たとえバ〇息子でも私の大切な一人息子なんです クビにはしたくはなかった」と発言したとするツイートが拡散した。当日の岸田首相の発言を全て確認したところ、該当するような発言は見られなかった。

対象言説

「たとえバ〇息子でも私の大切な一人息子なんです クビにはしたくはなかった」
https://twitter.com/tweetsoku1/status/1663173344382930945

結論

【根拠不明】

公の場での岸田首相の発言を全て確認したが、「たとえバ〇息子でも私の大切な一人息子なんです クビにはしたくはなかった」という発言はない。しかし岸田首相の事務所は問い合わせに応じておらず、誤りとまで判断する根拠が乏しい。

InFactはレーティングをエンマ大王で示している。
問題のツイートは「根拠不明」であり、これは2エンマ大王となる。

エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

ファクトチェックの詳細

朝日新聞の首相動静(5月30日付朝刊)によると、岸田首相が、首相秘書官を務める長男・翔太郎氏の事実上の更迭を記者団に明らかにしたのは、5月29日の午後6時40分だった。その後、検証対象のツイートが流れたのは午後10時20分。主要各紙の「首相動静」などを確認すると、その間に岸田首相が公の場で発言したのは、更迭を発表した時だけだった。

NHKオンラインによると、岸田首相は記者団に対し、更迭の理由について「総理大臣公邸の公的なスペースにおける昨年の行動が、公的立場にある政務秘書官として不適切で、けじめをつけるため、交代させることとした。G7広島サミット後の地元との調整業務がひと段落したことからこのタイミングにした」と述べている。また、任命責任については、「当然任命責任は私自身にあり、重く受け止めている」と話した。


ところが、ツイートにあるような発言は確認されなかった。また、首相官邸のHP、総裁である自民党のHP、主要新聞社の記事データベースなどを調べたが、発言の可能性がある約4時間において、このような発言が記録されたり、報道されたりしたものは存在しない。また、朝日新聞の首相動静によると、岸田首相はこの日の午前にも記者団のインタビューに応じているが、長男の更迭に関しては言及していない。

公の場以外で岸田首相がこのような発言をした可能性はゼロではない。しかし、そのような非公式な発言は記録(映像や音声など)がないし、メディアによって報道もされていない。Infactでは、この情報を発信したTwitter速報に6月14日に質問を送ったが回答は得られていない。一方で、岸田首相の事務所にも質問を送っているが回答は得られておらず、「誤り」と判定する材料も無い。

(西谷結,世古愛)

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