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「模擬原爆:原爆投下の訓練のためだけに一般人に落とされた爆弾」②

70年前の7月、大阪に落とされた1発の爆弾。それは、後に広島と長崎を襲う原爆投下のための訓練だった。研究者が「模擬原爆」と呼び始めたアメリカ軍の兵器について伝えるシリーズの第二弾。(アイ・アジア、鈴木祐太)

"慰霊碑の横で体験談を話す龍野繁子さん
“慰霊碑の横で体験談を話す龍野繁子さん

この爆弾について大阪市と大阪府が共同事業として行っている資料館の「ピース大阪」に記録が残されていた。米軍が戦後、開示した記録を入手したものだった。それによると、この日に大阪に落とされた爆弾は1発。重さは、1000ポンド(4.5t)。通常爆弾としては極めて大型だ。

記録を残したのは、米陸軍航空軍の第509混成群団となっていた。この部隊は、広島、長崎に原爆を落としたことで知られる。更に読み進めると、この爆弾が、原爆投下のための米軍の訓練だったことが書かれている。
「模擬原爆」。

一部の研究者の間で使われ始めている名称だ。原爆と同じ大きさ、形状、重さを有し、通常火薬が大量に積まれていた。その目的は、爆撃機が原爆を投下する際に注意すべき点などについて訓練を重ねるための、原爆を模した爆弾だったのだ。ご丁寧に「パンプキン」という名称までつけられていたという。形と色がかぼちゃに似ていたからだという。

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