インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
今週紹介する“要注意”情報
|
(1)「避難所拒否されたホームレスは酔った二人組」
日付
|
10/13 |
発信者
|
青柳雅之(台東区議) |
媒体
|
Facebook(スクリーンショットがTwitterで拡散) |
拡散数
|
Twitterで1万RT |
内容
|
台風襲来下の台東区でのホームレス受け入れ拒否問題に関連しFacebook上で青柳区議に意見を求めた一般ユーザーの投稿に対し、区議は以下のように返信。
この一般ユーザーと同一人物らしきTwitterアカウントがやり取りのスクリーンショット画像を投稿した。 |
【検証】区議本人が訂正
区議はその後、Twitterで以下のようにツイートし、自身がFacebookで述べた内容について訂正した(区議本人のアカウントであることは党HPのリンクなどから確認)。
台東区の「ホームレス受け入れ拒否」について、私の知人に発したコメントで多くの誤解を招いた状況になっています。不正確な内容が含まれていた事をお詫びし訂正します。こちらの記事が事実で間違いありません。https://t.co/lDvYhH05sN
— 青柳雅之(台東区議会議員) (@Masayuki_AOYAGI) October 15, 2019
これにより、「要援護者向け」の避難所に「酔った二人組」が来たなどとする、AERA.dotの記事内容と食い違う説明は撤回されたことになる。
なお、区議はFacebookで災害対策課の職員が「苦情対応に張り付き」になったなどとも記述していたが、これについてはAERA記事に関連する記述が無いため撤回されたのか明確でない。
(2)「台風で家が水族館に」
日付
|
10/13 |
発信者
|
一般ユーザー |
媒体
|
拡散数
|
4.5万RT | |
内容
|
「俺の家、水族館になる。#台風19号」というコメント付きで、家の外が水没し窓から魚が見えている写真の投稿。 | ||
引用
|
【検証】19号とは無関係の写真
この写真の初出ははっきりしないが、2015年8月に中国のネット上で拡散されていた様子までさかのぼることができる。この頃は台風15号(コーニー)が東アジア各地に大きな被害をもたらしており、写真はこの台風の影響の可能性が高い。いずれにせよ、先日の台風19号とは明らかに無関係だ。
(3)「韓国の避難所の写真」
日付
|
10/12 |
発信者
|
一般ユーザー |
媒体
|
拡散数
|
2600RT | |
内容
|
「画像は韓国の避難所」とする、テント式のパーテーションが設置された避難所の写真。 |
||
引用
|
【検証】震災時の釜石の写真
BuzzFeedのファクトチェック記事が検証しているように、これは東日本大震災翌月の2011年4月に岩手県釜石市で撮影された写真であり、韓国の避難所ではない。
なお、写真と同じパーテーションは今回の台風19号の際にも長野県上田市の避難所で使用されていた。
(4)「台風の最中に国会議員給料アップ」
日付
|
10/11 |
発信者
|
一般ユーザー |
媒体
|
拡散数
|
3.5万RT | |
内容
|
「この台風騒動の最中 国会議員の給料アップが閣議決定した模様です。省庁・検察・裁判官・特別職も軒並みアップ!」などと書かれた投稿。 |
【検証】大臣等以外の国会議員は対象外
投稿のあった11日には、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」「特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案」などが閣議決定されている。
このうち「一般職」には投稿者の述べた通り省庁職員などの国家公務員が含まれるが、国会議員は対象外。一方「特別職」の方は総理大臣・国務大臣等が含まれ、特別給(ボーナス)を0.05月分引き上げる内容となっている。詳しくはファクトチェック記事も参照のこと。
(5)「トランプ大統領が伊大統領をモッツァレラと呼んだ」
日付
|
10/17 |
発信者
|
一般ユーザー |
媒体
|
拡散数
|
3900RT | |
内容
|
トランプ大統領が16日訪米し会談したイタリアのマッタレッラ大統領のことを「プレジデント・モッツァレラ」と呼び、さらに「合衆国とイタリアは古代ローマ時代から同盟を結んでいる」と言ったとする、海外の話題を紹介した投稿。怪訝な表情をしているように見える通訳のキャプチャ画像も添付されている。 |
||
引用
|
【検証】モッツァレラとは言っていない
アメリカのファクトチェックサイト「Snopes」や「Truth or Fiction?」などがこの件を検証し、両サイトとも事実でないと判定している。
Snopesの検証動画によれば、トランプ大統領は会見後の公式会見で計4回イタリアの大統領の名前を言っているが、いずれも正しく「モッタレッラ」と発音されているという。この発音に関しては一部英語圏の人々からも「『モトローラ』に聞こえる」という声も挙がっているが、少なくとも「モッツァレラ」とは聞こえない。
また「古代ローマ」に関してトランプ大統領の実際の発言は、両国が「古代ローマ時代からの数千年にわたる文化的・政治的遺産(a shared cultural and political heritage dating back thousands of years to ancient Rome)によって結び付いている」というものだった。
なお、通訳の表情についてはトランプ大統領の発言中全体にわたり目立った変化が無いため、上掲のキャプチャに見られる表情が特定の発言に対する反応とは見なしがたい(参考動画)。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2019年10月30日の予定です)