インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
今週紹介する“要注意”情報
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(1)「新国立競技場の月極駐車の英語表記がめちゃくちゃ」
日付
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12/16 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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9200RT | |
内容
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「新国立競技場の英語表記がめちゃくちゃな件」などとして、「月極駐車募集中」の看板に「The moon ultra parking is being recruited.」という誤った英訳が並記されている画像。 |
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引用
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【検証】新国立競技場の起工前から存在する画像
この画像は、少なくとも2015年5月には存在しているものだ。これはちょうど旧国立競技場のスタンド解体が終わった頃で、起工式(2016年12月)よりもはるかに前。画像の撮影場所が新国立競技場でないことは明らかだ。実際はどこなのか、画像が加工されていないかなどは不明である。
(2)「国立競技場は結局2500億かかった」
日付
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12/1 |
発信者
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木曽崇(カジノ研究家) |
媒体
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拡散数
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6100RT | |
内容
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「ザハ案の2500億円は高すぎると批判して出来た、現国立競技場が短期工事のコスト高で結局2500億かかり、ザハ案では予定されていた屋根も空調も装備されず、ザハ案ではあった客席勾配もなく球技観戦に不向きとされサッカーにすらマトモに使われず。あのカラ騒ぎは、一体何だったのか?」という投稿のうち、「現国立競技場が短期工事のコスト高で結局2500億かかり」とする記述。 |
【検証】公表されている整備費は1569億円
故ザハ・ハディド氏が当初設計を担当していた新国立競技場は、2520億円と算定された整備費などが問題視され(大会後の費用などを含めると3000億円とも)、2015年12月に隈研吾氏らによる現在の設計案への変更が決定された。
新国立競技場の最終的な工事費は1529億円、設計などを含めた整備費は1569億円だったとされている(資料p.7参照)。政府は整備費の上限を計1590億円と定めており(資料p.2参照)この範囲内に収まった形だ。
「ニュースのタネ」では木曽氏に対し「2500億円」の根拠をメールで質問しているが、18日時点で回答は無い。回答があれば追って追記する。
(3)「映画版ソニックのデザインをやり直したスタジオが倒産」
日付
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12/13 |
発信者
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但木一真(ゲーム業界アナリスト) |
媒体
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拡散数
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1.1万RT | |
内容
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海外記事を引用し、「映画版ソニックのデザインをやり直したスタジオが倒産」とした投稿。 |
【検証】支社閉鎖のメール流出も倒産の情報無し
人気ゲームキャラクターのソニック・ザ・ヘッジホッグ(ソニック)をCG化した映画「ソニック・ザ・ムービー」では、当初公開された予告編のソニックのビジュアルが不評だったため、公開を延期してデザイン変更が行われていた。この変更に携わったとされるのが、映画で当初からCGを担当していたムービング・ピクチャー・カンパニー(MPC)である。
但木氏はこのMPCが「倒産」したと、海外のエンタメ系メディアIGNの記事を基にツイートした。しかし、IGNやその情報源であるCBCカナダの記事が伝えているのは、実際にはMPCの支社であるバンクーバースタジオの閉鎖。スタッフへの告知メールなどから明らかになったものだが、ロンドン本社を始め他のスタジオへの影響は不明だ。
バンクーバースタジオ閉鎖の理由は「外的要因による市場の逼迫」とのみ語られていて、ソニックのデザイン変更が関係しているかなど具体的なことは定かではない。
(訂正)「CNCカナダ」は正しくは「CBCカナダ」でした。訂正します。(2019/10/18 10:53)
(4)「銀座線運休お知らせ 日中韓表示のみで英語はない」
日付
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12/12 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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3500RT | |
内容
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地下鉄駅のポスターの写真とともに、「銀座線 運休のお知らせ 日本語、中国語、韓国語の三ヶ国語表示。英語はない。」などとした投稿。 |
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引用
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【検証】英語表示も存在
ジャーナリストの有本香氏も「世界で最も使用人口の多い言語で表記しない理由をむしろ知りたい」という、英語が無いことを批判したと見られるコメントとともに投稿を引用し、約4900Rリツイートされている。
しかし、BuzzFeedの調査によると、東京メトロ銀座線の工事案内ポスターには英語版や日本語のみのものも存在しており、駅構内の多くの場所に掲示されていることがわかった。詳細は検証記事を参照。
(5)「無期懲役は一生刑務所ではなく出所してくるのが通例」
日付
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12/5 |
発信者
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吉村洋文(大阪府知事) |
媒体
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拡散数
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3600RT | |
内容
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埼玉県熊谷市で2015年に6人を殺害した被告に、東京高裁が5日無期懲役の判決を言い渡したことに関連し、「ちなみに日本の無期懲役は、終身刑と異なり、一生刑務所ではなく、出所してくるのが通例。」などとした投稿。 |
【検証】近年は服役中死亡が仮釈放の2.3倍
以前は確かに無期受刑者は15年程度の比較的短期間で仮釈放されることが多かったが、近年その傾向は大きく変化。現在の運用では、仮釈放のための審理を受けるのに30年の服役が原則必要なうえ、審理の対象になっても、認められたのは過去10年間で約22%。約1800人の無期刑受刑者のうち実際に仮釈放されたのは年に10人程度にとどまる。認められなかった場合、次の審理を受けるにはさらに10年待つことになる。
刑務所内で死亡した無期刑受刑者数は仮釈放者数の約2.3倍と、「一生刑務所」のケースは少なくない。「出所してくるのが通例」は事実とは言い難い状況だ。
詳細は別稿のファクトチェック記事を参照のこと。2015年の弁護士ドットコムの解説、2017年の弁護士・三浦義隆氏のブログ記事も参考になる。
(6)「ラブライブのファンに押されて怪我」
日付
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12/14 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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2800RT | |
内容
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怪我をした手などの画像とともに、「ラブライブのファン怖すぎてもう無理。」などとして、アニメ・ゲームなどで展開する人気作品「ラブライブ!」シリーズのファンに怪我をさせられたとする投稿。 |
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引用
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【検証】別人の投稿写真を流用
上掲の投稿は、アイドルグループ・嵐のファンに怪我をさせられたとする別人の投稿(削除済み・キャッシュ)の写真を流用し、文面も真似たもので、信憑性は全く無い。
元となった投稿はアカウントごと削除されており、こちらも真偽は不明である。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2019年12月25日の予定です)