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小池都政 公約検証[1] 住宅耐震化、不燃化を「2020年までに加速」は実現したか?

小池都政 公約検証[1] 住宅耐震化、不燃化を「2020年までに加速」は実現したか?

東京都の小池百合子知事は2016年の立候補時に、「セーフシティ」として掲げた公約の一つに「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」ことを挙げていた。しかし、知事就任後、住宅の耐震化・不燃化が加速したという事実は確認できなかった。(田島輔)

検証対象の公約内容

住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる。
2016年都知事選の公約「スマートシティ」(1)

小池都政検証シリーズについて

検証

小池氏は、都知事就任時の所信表明でも、「私は、阪神・淡路大震災を経験をいたしました。倒壊した建物や電柱が救急車両の通行を妨げ、火災による被害も瞬く間に広がったことは皆さんもご存知のとおりであります。この東京においても、耐震化、不燃化は喫緊の課題であります。」(平成28年第3回都議会定例会知事所信表明)と述べ、住宅の耐震化・不燃化を進める旨を明らかにしている。その後も、住宅の耐震化・不燃化を進める旨は、東京都議会において、小池都知事が繰り返し表明していた。

事業予算は就任後、年々減少

東京都の住宅の耐震化・不燃化に関する2つの事業の予算(木造住宅密集地域の不燃化・耐震化事業、及び耐震改修促進事業)は、小池都知事の就任後に組まれた2017年度以降減少を続け、2020年度の予算は、小池都知事就任前の約3分の2になってしまっていた。

筆者調べ、編集部作成

達成目標も後退

予算が減少しただけでなく、実際にも、住宅の耐震化・不燃化の進捗は順調に進んでいないようである。

住宅の不燃化については、2016年3月に改定された「防災都市づくり推進計画」では、整備地域において、2020年度末までに平均の不燃領域率70%、2025年度末に全地域不燃領域率70%を目指していた。「不燃領域率」とは、あるエリアに占める空地と耐火建築物の敷地面積の割合であり、不燃領域率が70%を超えると市街地の延焼の危険性がほぼなくなる、とされているものだ(詳しくは、こちらの資料参照)。

しかしながら、2020年3月に改定された「防災都市づくり推進計画の基本方針」では、整備地域内における不燃領域率の目標値が、2025年度末までに半数以上の地域で不燃領域率70%、2030年度末までに全地域で不燃領域率70%となり、達成目標が後ろ倒しになってしまった。

達成目標が後ろ倒しになった理由を東京都都市整備局市街地整備部防災都市づくり課に確認したところ、もともと、2020年度末までに、整備地域内の平均の不燃領域率70%等を目指すこと自体が高い目標であり、達成が確実な目標ではない、とのことであった。

「令和元年度第1回防災都市づくり推進検討委員会 防災都市づくり推進計画の改定のポイントについて」(2019年12月17日)より

耐震化率は未算定

また、耐震化に関しては、知事就任後に策定した「都民ファーストでつくる『新しい東京』~2020年に向けた実行プラン~」において、2020年度末までに住宅の耐震化率95%を目標に掲げていた。

だが、現在判明しているのは、2015年3月時点での住宅の耐震化率83.8%だけであった。都の都市整備局市街地建築部建築企画課に確認したところ、最新の住宅の耐震化率は現在算定中であり、2020年度末までには公表する、とのことであった。

「平成31年度東京都耐震改修促進計画検討委員会(第1回)」(2019年4月19日)より

東京都の回答は?

都の都市整備局市街地建築部建築企画課及び市街地整備部防災都市づくり課に対し、住宅の耐震化・不燃化関連の予算が減少している理由を確認したところ、以下の回答があった。

まず、「耐震改修促進事業」に関しては、耐震改修促進法や耐震化推進条例で義務付けられている耐震診断の報告期限が2014年度末であったことから、2014年度の予算額が多くなっており、その後は、前年度の予算を踏まえて予算額を判断している、とのことであった。

「木造住宅密集地域の不燃化・耐震化」事業の予算額が減少していることについては、当該事業の予算では「特定整備路線の整備」が大部分を占めているが、「特定整備路線の整備」の実施が予定された場合に多額の予算が組まれていたが、この部分が減少している、とのことであった。。

結論

住宅の耐震化については計画の達成が確認できず、不燃化に関しては当初の目標が達成できていない。年々予算も減らしており、「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速させる」との公約は守られたとは言えない。よって、この公約についての小池都政の取り組みは「不可」と評定した。

評定の基準はこちら

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