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《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.40/2020.7.8)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.40/2020.7.8)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)


(1)「東京は(6月中旬)桁違いに検査数を増やした」

日付
6/28
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
1.3万RT
内容
東京都で行われている新型コロナウイルスのPCR検査について、「こんなに桁違いに検査数を増やした」などとする画像付きの投稿。
引用

※アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様)

【検証】データの取り扱いの変更 実際の増加は緩やか

この画像は、東洋経済オンラインによる「新型コロナウイルス国内感染の状況」という特設サイトから、「東京都の検査陽性者数」と「東京都のPCR検査人数」の項目を引用したものだが、6月17日以降の数値は医療機関における保険適用検査人数を加えたもので、それ以前とは使用されるデータの内容が違っている。

一方、東京都のサイトでは、5月7日分から保険適用検査を含むデータを掲載。これによれば、検査数は緩やかに増加している傾向はあるものの、「桁違いに増やした」とまでは言えない。詳細は別稿のファクトチェック記事を参照。

同様の言説として、「東京の検査数はこの1ヶ月で約20倍に増えている」などとした投稿が約2.6万RTされている。東京都議の川松真一朗氏も「東京都のPCR検査人数が6月18日から20倍以上増」などと投稿し、約1700RTされている。


(2)「東京都検査数は4月上旬から6~7倍」

日付
7/5
発信者
藤井聡(工学者)
媒体
Twitter
拡散数
8400RT
内容
東京都のPCR検査数について、「現在と同様の感染数だった4月上旬の一日平均検査数は約270人に対し、今は約1700人と実に6~7倍!」などとする投稿
引用
【検証】保険適用検査の取扱いに違い 実際は3倍程度か

藤井氏は、東京都発表の結果判明日を基準とするデータを利用し15日間移動平均を取ったとしているが、(1)の検証中に述べた通り、このデータには5月7日分までは保険適用検査の数が含まれていない。さらに、4月9日までは東京都健康安全研究センターのみで、都内各地のPCRセンターでの検査数が含まれない。これらのことはグラフ下の「注」の欄に記載されている。

保険適用を含む検査数としては、都は検体採取日を基準とするデータを発表している。同じ人が複数回検査を受ける場合も含むためあくまで参考だが、4月上旬の検査数は1000件前後に対し、7月上旬は2.5~3倍ほど。「6~7倍」とは大きな開きがある。


(3)「英国は香港人全員に国籍を与える」

日付
7/1
発信者
エミン・ユルマズ(エコノミスト)
媒体
Twitter
拡散数
8200RT
内容
米メディアBloomberg公式アカウントの動画付きツイートを引用し、「英国は香港人全員に国籍を与えるそうです。」とする投稿。
引用
【検証】返還前に生まれた市民のみ

米通信社ブルームバーグ(Bloomberg)のツイートは、イギリスのジョンソン首相が1日、イギリス海外市民(BNO)パスポートを持つ香港市民がイギリスの市民権を申請できるようにすると発表したことを伝えるもの。

「イギリス海外市民」とは1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つことのできる資格で、現時点で約35万人が取得しているほか、条件を満たしている市民は260万人いるとされる(参照)。香港政府によれば香港の人口は約750万人(2019年)のため、対象者は4割ほどとなり、「香港人全員」ではない。


(4)「M・ジョーダンが警察に感謝の意 BLMとは逆の立場」

日付
7/4
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
4600RT
内容
海外ユーザーの画像付きの投稿を引用し、「マイケル・ジョーダンがついに口を開いた。警察に感謝の意を示し、メディアと黒人の大多数が支持する #BLM を敵に回した。このご時世で黒人の彼がBLM とは逆の立場を取ったのはさすがだ!」などとする投稿。
引用
【検証】2016年の発言でBLMと逆の立場を取ったものでもない

画像のオリジナルは、アメリカのメディアFox NewsのFacebook公式アカウントが2016年に投稿したもの。バスケットボールの元スター選手であるマイケル・ジョーダン氏が、米ウェブメディアThe Undefeatedで発表した声明からの引用である。声明の日本語訳(抜粋)は「grape」で読むことができ、引用はこのうち「(この30年間、)私は私の家族を全力で守ろうとしてくれる警察官を間近で見てきた。彼らの労務や犠牲に対して、最大の敬意を払っている。」という部分に相当する。

この声明は、2016年当時大きな反発を呼んだ警官による黒人の射殺事件、そして警官に対する襲撃・殺害事件を受けて発せられた(参照)。双方の対立の過激化に懸念を表したもので、テーマは今年起こったいわゆる「BLMデモ」にも通じると言えるが、BLMデモに関する発言と捉えるのは時系列が逆である。また、警察側を一方的に支持し黒人らと「逆の立場を取った」というような内容でもない。

さらに、ジョーダン氏は実際には今回のBLMデモに関連し、人種差別問題に取り組む団体に巨額の寄付を表明。「根深い人種差別や有色人種に対する暴力に反対する人たちを支持する」という発言を寄せている。


その他

FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。

また過去のまとめでも、新型コロナウイルス関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。

 

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年7月15日の予定です)

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