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《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.65/2021.1.8)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.65/2021.1.8)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)


(1)「羽田雄一郎氏 死去当日に会合」

日付
12/27
発信者
スポーツニッポン
媒体
Web記事
拡散数
不明
内容
新型コロナウイルス感染症により死去した羽田雄一郎参院議員について、「羽田雄一郎氏死去 都内の会合後、体調不良を訴えて倒れる 政界関係者が明かす」と題し、「政界関係者によると、同日、都内で行われた会合に出席し、会場を後にし車に乗り込む際に足元がふらつき、体調不良を訴えてその場で倒れた。その後、都内の病院に救急搬送されたが、息を引き取った。」などとする記事(削除済み、キャッシュ)。
【検証】会合無しと発表 記事は削除

立憲民主党所属の参院議員・羽田雄一郎氏は、 2020年12月27日に急逝し、その後新型コロナウイルス感染症が原因と発表された。羽田氏は24日頃に発熱訴えていたとされることから(参照)、感染症が疑われる症状があるにもかかわらず会合に出席したとされることに批判も起きていた。

しかし、立憲の福山哲郎幹事長は28日、記者会見で「会合に出て途中で倒れたという情報は事実ではない」と否定、あわせて羽田氏の行動履歴も公表した(参照)。それによれば、羽田氏は24日深夜の発熱後は自宅で過ごしており、27日に車でクリニックへ向かう途中で容体が急変、その後死亡が確認されたという。公務で人と面会したのは発症前、23日の長野県での会合と都内での財務省職員との面談が最後とされている。

スポーツニッポンの記事は28日頃に削除された。同社はJ-CASTニュースの取材に対し「弊社が取材入手した内容が誤情報であったため削除しました」と回答している。

同様に、東京スポーツも「複数の関係者によると、24日に発熱した羽田氏は27日に会合に出席。」などとした28日の記事(キャッシュ)をその後修正している。


(2)「立憲の国会振り返り コロナと経済対策がない」

日付
12/28
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
3300RT
内容
立憲民主党のオンラインライブ動画のスクリーンショットとともに、「凄い…コロナと経済対策がないwww」などとする投稿。
引用
※アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様)
【検証】この場面の前にコロナについて議論

この画像は、立憲民主党が12月28日にライブ配信したオンライン番組からのスクリーンショットで、「2020年国会争点の振り返り」というフリップには大学入試改革などいくつかの項目が並んでいるが、新型コロナウイルス対策や経済に関する項目は無い。

実際の動画(20分頃~)を見るとこのフリップは、新型コロナウイルス関連の話題が一区切りした後で「それ以外でも色んな問題が国会では取り上げられました」として提示されている。実際、これより前の場面では、新型コロナウイルス対策やそれに関連した経済の問題について一貫して議論されている。また、その後30分頃からは出演者を変え第2部が始まっているが、そこでもこれらのテーマは語られている。

この投稿に対しては、立憲民主党の公式Twitterアカウントも「コロナ対策やそれに関連する経済対策は、この前後にたくさん語っています。『コロナ以外の争点振り返りフリップ』です。」と反論する投稿をしている。


(3)「壇蜜を自民党が参院選擁立へ」

日付
12/23
発信者
msnニュース、共同通信
媒体
Web記事
拡散数
不明
内容
壇蜜を自民党が参院選擁立へ」と題し、「今夏の参院選で『五体不満足』の著者・乙武洋匡氏(39)の擁立を見送った自民党が目玉候補として、タレントの壇蜜(35)に白羽の矢を立てていることが本紙の取材で判明した。」などとする、東京スポーツからの転載配信記事(msn共同)。
【検証】2016年の記事の誤配信

記事には日本維新の会の東徹参議院議員も反応するなど反響を呼んだ。

しかし、この記事は元々東京スポーツが2016年に配信したもの。人物の年齢やプロフィールが現在と合わなかったり、そもそも「今夏の参院選」というものが存在しなかったりと、2020年12月時点の状況には合っていない。msnニュースや共同通信でこの記事が「2020年12月23日」の日付で配信されたのは何らかの誤りと思われる。

2016年時点で壇蜜氏を擁立しようとする水面下の動きが実在したかは不明だが、少なくともその年の参院選で実現には至っていない。


(4)「盗まれた痛車がイスラム国の戦車に」

日付
1/2
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
2.8万RT
内容
盗まれた痛車がイスラム国の戦車になっていた」とする、過激派組織IS(イスラム国)のメンバーらしき人物がアニメキャラクターの描かれたいわゆる「痛車」に乗っているかのような画像付きの投稿(削除済み)。
引用
画像1枚目拡大
【検証】コラ画像

この画像は、ISのプロパガンダ映像の一場面(参照)を使ったコラージュ画像で、車体部分は実際は地味な小型トラックである。

なお、ISら武装組織が日本車をよく利用していることは以前から指摘されているが、それらは必ずしも盗難車ではなく、中古車や新車が使われているという(参考)。


(5)「生年と年齢を足したら誰もが2020 次は1000年後」

日付
12/24
発信者
フィフィ(タレント)ほか多数
媒体
Twitter
拡散数
最大2.9万RT
内容
今日は、誰もが自分の西暦の生まれ年と年齢を足したらちょうど、2020になる日なんですって。そして、次に世界中の人が同じになるのは1000年後だそうです。」などとする投稿。
【検証】毎年年末は西暦と同じ数になる

そもそも年齢とは生まれてから何年経ったかを表した数なので、その年の誕生日を既に迎えている場合、生まれ年と年齢を足して現在の西暦の数になるのは偶然ではなく当たり前のことである。これは「1000年後」に限らずどの年でも成り立ち、2021年に同じ計算をすれば結果は2021に、2022年に計算すれば2022になる。

また、上掲投稿は年末の12月24日に行われたためほとんどの人が2020に当てはまったが、誕生日が12月25日~31日の人の場合、計算結果は2019になり成り立たない。本当に「世界中の人が同じ」になる日は、全ての人が誕生日を迎える12月31日である。

この情報は著名人を含め非常に多くの人が投稿し拡散された。上掲のフィフィ氏以外では、大平峻也氏(俳優)、山田勝己氏(タレント)、田母神俊雄氏(軍事評論家)、佐藤栄一氏(宇都宮市長)らが同様の投稿をしている。また、2018年には「足すと2018になる」という類似の噂が拡散し、この時は有田芳生氏(参院議員・立憲民主党)らが投稿している。

詳細はJ-CASTニュースキャリコネニュースなども参照。

 

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。)

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