インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
(1)「ムーはコロナ関連の話題ほぼ皆無」
日付
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2/1 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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1.4万RT | |
内容
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「ムーひさしぶりに読んだんですが、このご時世なのにコロナ関連の話題ほぼ皆無だったので、健康や医療に関わる不確かな話題は、おそらく意図的に排除してある感じあったし、下手するとワクチンに対して恐怖を煽るような事ばかりしてる普通の大手マスコミより、ムーのほうが情報リテラシー高いのでは…?」とする投稿。 |
【検証】コロナ関連の記事・特集も多数
オカルト雑誌『ムー』が新型コロナウイルス関連の話題をほとんど扱ってないとする投稿だが、実際には投稿日時点での最新号である2021年2月号(1月9日発売)にも「大予言2021」と題した特集で新型コロナについては触れられている。これは、「霊能者」を名乗る松原照子氏が2021年の新型コロナ感染拡大状況と東京オリンピックの行く末を占うという内容だ(参照)。
これ以前にも、バックナンバーを見れば分かるように、『ムー』では新型コロナの話題が再三取り上げられている。2020年12月号では「新型コロナウイルスと最新『ウイルス進化論』の謎」という特集が大々的に組まれているし、他にも「新型コロナに隠された獣の刻印666」「新型コロナの黙示大預言」といった記事が毎号のように登場。「ほぼ皆無」や「意図的に排除」とは到底言い難い。
なお、この投稿への反応として「ムーは震災・原発事故の時も煽りやデマ記事は一切載せなかった。」などと述べた投稿も約4500RTを獲得しているが、震災当時の2011年から翌2012年にも、地震に関する「予言」や陰謀論が再三取り上げられている。
詳細はASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)による記事も参照。
(2)「スーパーボウルでトランプ復活のCM」
日付
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2/9 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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4100RT | |
内容
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「米国のアメフトのスーパーボールで流れたCM トランプ復活と流れた」などとする、動画付きの投稿。 | ||
引用
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※アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様) |
【検証】無関係の映像を合成した架空CM
動画では、最初に女性の顔のアップ、次に巨大な壁を建設する人々の姿などが映り、「TRUMP REVIVAL(トランプ復活)」などのロゴが映し出される。
これはドナルド・トランプ前大統領とは無関係の複数のCMなどを合成した映像で、スーパーボウル(アメリカンフットボール・NFLの優勝決定戦)の中継で実際に流れたCMではない。
最初の女性の顔とナレーション音声は、2019年のスーパーボウルの際に流れた起亜自動車(キア)のCMから取られたもの(1:07頃~)。壁を作る人々のシーンは、2017年のスーパーボウル用に制作された建設資材会社84ランバーのCMだ(3:10頃~。当該シーンはTV放送されずWEBのみで公開された。詳細はこちら)。
「TRUMP REVIVAL」はトランプ氏の選挙キャンペーン用のロゴを改変したもの。「2020」という年号は改変映像にそのまま使用されており、このことからも今年流れたCMとしては不自然と判別できる。
(3)「バイデンが搭乗した機体は大統領機じゃない」
日付
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2/7 |
発信者
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くつざわ亮治(東京都豊島区議) |
媒体
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拡散数
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1600RT | |
内容
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「『バイデン大統領、大統領専用機エアフォース・ワンに搭乗』と全世界報道された機体が大統領機じゃない件 本物 長さ70m 機体番号900017 バイデン機 長さ40m 機体番号90017 カラーリングも全く違う」などとする、動画リンク付きの投稿。 | ||
引用
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くつざわ氏が投稿した、自身のアカウントのYouTube動画 |
【検証】正規の大統領機で過去の大統領も使用
動画の中でくつざわ氏は、アメリカのジョー・バイデン大統領が乗っていた機体「C-32」は副大統領専用機「エアフォースツー」で、大統領専用機「エアフォースワン」は「VC-25」であると主張。同様の主張は政治評論家の加藤清隆氏も投稿している。
大統領機にはVC-25、副大統領機にはC-32が主に使われること、バイデン氏が大統領就任後初めて搭乗した機体が後者だったことはそれぞれ事実である。しかし、空港設備の都合などから場合によってはC-32が大統領機として使用されることもあり(参照)、過去にもトランプ、オバマら歴代の大統領が任期中に搭乗している。「専用機」ではないものの、バイデン氏の乗った機体が大統領機であることに間違いは無い。
なお、大統領専用の特別仕様機である特定の機体を指して使われることが多い「エアフォースワン」という言葉だが、これは俗称で、本来は大統領が空軍機に搭乗する際に用いられるコールサインである(参照)。従ってその意味では、バイデン氏がどんな機体に乗ったとしても(空軍機であれば)それは定義上「エアフォースワン」と呼ばれる。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。)