「ロックダウン開始前に国民が田舎に逃げています」というコメントとともに、多くの車で混雑する道路の写真が拡散された。トルコでは4月から初の全面的なロックダウンが行われているが、拡散された画像は昨年12月のものであった。(日高 大)
トルコの都市部が20日間の全面ロックダウンに入って県をまたぐ移動も禁止されるので、ロックダウン開始前に国民が田舎に逃げています。まるでゾンビ映画です。
(Twitter、2021年4月29日の画像付き投稿。強調筆者)
【不正確】 画像はロックダウンの時ではなく、2020年12月の外出制限発令時のものである。
このツイートはエコノミストのエミン・ユルマズ氏によるもので、2021年5月8日時点で約2000RTと約5600いいねを獲得している。
画像の出どころ
問題の画像と同じものは、トルコの主要TV局のひとつNTVによる2020年12月4日の記事で見ることができる。記事のタイトルは「Kısıtlama başladı trafik yoğunluğu bitmedi(制限開始後も交通渋滞が続く)」となっており、イスタンブールで制限開始前後に交通量が増加したと報じている。
ビジネス・経済ニュースを発信する現地メディアPatronlarDunyasiによる2020年12月11日の記事も、同じ画像を掲載。タイトルは「İstanbul’da trafik yoğunluğu yüzde 65’e çıktı(イスタンブールの交通渋滞は65%に増加)」で、外出制限が始まる時刻を前に市内の交通量が65%増加したと報じている。
トルコは2021年4月29日から初の全面的なロックダウンを開始したが、2020年12月1日から平日夜と週末週日の外出制限が行われていた。拡散された画像はこの時のもので、金曜夜から再び始まる週末の外出制限期間の直前の様子である。
実際のロックダウン時の混雑は?
とはいえ、今回のロックダウン開始前にも同様の混雑が発生したのは事実のようだ。NTVは4月30日の記事で、「Kapanmanın ilk gününde İstanbul’da yoğun trafik(閉鎖初日にイスタンブールで交通渋滞)」と題し、ロックダウン発令時のイスタンブールでの交通渋滞について報じている。記事中の画像からは道路や公共交通機関で混雑が発生していることが分かる。
また、日テレNEWS24は4月30日のニュースで、都市部を離れようとする人々による首都アンカラのバスターミナルでの混雑について伝えている。
結論
投稿に添付されている画像は2020年12月に撮影されたもので、今回のロックダウンとは関係が無い。今回のロックダウン時にも同様の混雑が発生しているが、チェック対象のツイートは情報に誤りが含まれるため全体として「不正確」と判定した。
(5月10日訂正:当初エミン・ユルマズ氏について「トルコ人」と記述していましたが、正しくはトルコ出身で現在は日本国籍を取得されています。指摘を受け記述を修正しました。本人並びに読者の皆様にお詫びいたします。)
(冒頭画像:エミン・ユルマズ氏によるTwitter投稿)