「政府専用機 ニューデザイン!」というコメントとともに、機体に大きく旭日旗風の柄が施されたデザインの政府専用機の画像が拡散された。しかし、航空自衛隊によると、現時点でデザイン変更の予定はなく、これまで運用されてきた機体も、拡散された画像とは異なったデザインだ。(中川瑞月、小島遥花)
政府専用機 ニューデザイン!
(Twitter、2021年5月21日画像付き投稿)
【誤り】 画像は架空のデザインであり、現時点で政府専用機のデザイン変更の予定もない。
このツイート(冒頭画像)は、2021年7月13日時点で約4300RTと約1.5万いいねを獲得している。
デザインの変更はなし
問題のツイートの情報について、6月25日に政府専用機を管理している航空自衛隊に問い合わせた。問い合わせ内容は、①現在運行されている政府専用機のデザイン、②政府専用機のデザインの変更予定の有無、についてである。
その結果、問い合わせから数時間以内に、防衛省航空幕僚監部総務部総務課広報室から以下の通り回答があった。
①「航空自衛隊が運用する政府専用機のデザインは、添付ファイルのとおりです」
②「現時点でデザインを変更する予定は、ございません」
ここでの「添付ファイル」とは、次のような写真だった。機体の模様は白地に赤色の流線で、旭日旗柄ではない。
「JAPAN AIRLINES」の文字は合成
また、日本国政府専用機には、機首部分に「日本国 JAPAN」の文字がペイントされているのに対し、ツイート画像の機体は「JAPAN AIRLINES」(JAL、日本航空)となっている。
(画像左:航空自衛隊特別航空輸送隊ホームページより、政府専用機。画像右:当該ツイートより。ともに赤枠は筆者による)
この点に関して、7月8日に日本航空株式会社に当該デザインの機体が実際にあるのかを問い合わせた。その結果、翌日の9日にメールで返答があり、「JALグループでは、当該デザインの航空機はない」という回答が得られた。
現在運用中の2代目政府専用機
首相官邸の政府専用機特集ページによると、現在は政府専用機2代目の「ボーイング777-300ER」の1号機と2号機が運用されている。
また、航空自衛隊特別航空輸送隊によると、1993年(平成5年)2月に初任務運行した政府専用機1代目である2機の「ボーイング747-400」は、2代目の運行が開始される前の2019年(平成31年)3月に運用を終了している。
結論
投稿に添付されている画像の機体は、現在運用されている政府専用機のデザインと異なっており、過去に運用されていたものとも異なる架空のものである。また、航空自衛隊は現時点でデザイン変更の予定はないとしている。よって、旭日旗をあしらった架空のデザインの機体を政府専用機のニューデザインだとした当該ツイートは「誤り」である。
仮に当該ツイートの発信者が、自ら画像を作成して発信しているのであれば「虚偽」であるが、画像の作成者と発信者が同一人物かどうかの確認ができないために「誤り」と判定した。
(冒頭画像:チェック対象ツイートのスクリーンショット。モザイク加工は筆者による)