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中国を脅かす過激犯罪!多発する背景には何が(後篇)宮崎紀秀

私は、冀が殴られた時、冀のバイクに乗っていた男性にも接触することができた。当時、東莞市のレストランで働いていたこの男性は、すでに遠く離れた雲南省の実家に戻っていた。男性は匿名を条件に取材に応じた。

男性は、冀が治安要員に殴られたことを証言した。自身も一緒に殴られたという。男性によれば、男性が乗った冀のバイクは、警察の車に追いかけられ、治安要員のいる施設の門の近くに追いつめられた。治安部隊の1人が、鉄パイプで冀を殴り落としたというのだ。男性と冀は、合わせて7-8人から1-2分間に亘り暴行を受けた、という。

「彼らが、(殴るのを)もう止めろ、と言った時に、意識を失っている冀が目に入った」

男性は、意識がもうろうとして、気づいた時には、救急車で病院に運ばれていたという。

「医者に、君は脳髄まで殴られていないから、運が良かった。殴られていたらどうなっていたか分からない、と言われた」。
それに続き、「もう一人は、身体障害者になってしまったよ」と告げられたという。

その後、男性の元に警察が「交通事故」の捜査としてやって来たという。男性は「交通事故ではない」と主張し、警察に届けたという。しかし、その後の捜査がなされたかどうかについては分からないという。

この男性は自身も負傷している。賠償を求めたりはしなかったのか、との問いに対し、「冀中星の事件と一緒に処理してもらえればいい」とは答えたが、同時に「自分はただの一庶民だから」と嘆いた。

この反応は、中国の庶民としては珍しくない。男性にしてみれば、何とか命を取りとめ、怪我も癒えたのならば、当局者に楯突くようなことをして、報復などされる恐怖の方がよほど大きいということなのだろう。

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