インファクト

 調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.21/2020.2.26)

《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.21/2020.2.26)

インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)


(1)「内閣支持率 続落26%」

日付
2/21
発信者
立憲民主党公式Twitterアカウントなど
媒体
Twitter
拡散数
不明
内容
毎日新聞の記事を紹介し、「内閣支持率続落26% 『総裁3選』62%否定」とした投稿。
【検証】2017年7月の情報が拡散

立憲民主党公式アカウントによるツイートは比較的短時間で削除されたらしく、キャッシュも確認できないが、多くのユーザーから誤りを指摘するリプライが残っていることからその存在を伺い知ることができる。同様に同党参議院議員の有田芳生氏や弁護士の伊藤和子氏も、キャッシュは確認できないが、本人たちの反応からこの話題に言及する投稿があったものと推測される。

「内閣支持率続落26%」という毎日新聞記事は2017年7月のものであり、古い記事であることを明示せず紹介するのは誤解を招く。直近では今月17日、同じ毎日新聞は内閣支持率は41%という世論調査の結果(共同通信実施)を報じている。前回1月の調査と比べて下落しているが、1月は昨年12月と比べて増加しているため、「続落」も直近の結果には当てはまらない。


(2)「スイスのマウンテンコースター(動画)」

日付
2/25
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
3300RT
内容
「スイスのマウンテンコースター」などとして、高速で山を下りているように見える乗り物の動画を添付した投稿。
引用
アカウント名等モザイク処理は筆者による
【検証】ケーブルカーの動画を早送りしたもの

この動画の出典は不明だが、YouTubeなどで見られるスイスのゲルマーバーンというケーブルカーの映像(例)と風景が一致している。上掲の投稿による動画は他の動画に比べかなり速度が速く、早送り編集された映像と考えられる。

(※2/27追記:出典とみられる2018年6月の同一の動画がInstagramで投稿されている。投稿者コメントには「timelapse(タイムラプス)」とあるほか、映像を最後まで見ると人の動きから早送りであることがはっきりと分かる。)


(3)新型コロナウイルス関連特集

以下、新型コロナウイルス(新型肺炎)に関連する“要注意”情報のうち、主要なものを簡潔に紹介します。(順不同)

1.「コロナウイルス肺炎は鼻水を伴わない乾いた咳」「耐熱性なく26~27度で死滅」

→専門家が否定

この噂は元々恐らく中国語圏で出回ったもので、それが日本語に訳されLINEなどでチェーンメールのような形で爆発的に拡散されたようである。「中国・深圳の病院で働く知り合いからの情報」など、信頼できる情報源があるかのように書かれたものが多いが、その内容は多くの専門家が否定している。

コロナウイルスが原因の肺炎でも鼻水や痰の症状は確認されており、風邪などその他の病気と症状だけで見分けることはできない。また26~27度でコロナウイルスが死滅することはなく、お湯を飲んでも予防にはならない。「57度」などとなっているパターンもあるが、お湯で効果が無いのは同じである。


2.「厚労省が日の丸を冠したマスクを生産」

→民間企業が以前から作っていたもの

厚労省による医療用マスク不足対策に関し、毎日新聞が書いた記事(キャッシュ)掲載の写真が「厚労省が日の丸の付いたマスクを生産」として拡散された。しかしこれは愛知県のメーカーが以前より生産している高性能マスクで、「CLEVER」の文字は社名の「くればぁ」を表している。したがってこのマスクは厚労省が作ったわけでも、厚労省が日の丸を入れさせたわけでもない。

毎日新聞記事の写真キャプションには「新型コロナウイルスの感染拡大で国内外から注文が殺到している高機能マスク」とあるが、記事内容との関連ははっきりせず、このマスクが厚労省が行う供給対策の対象になっているのかは不明。毎日新聞記事の写真は現在別のものに差し替えられている。


3.「ロンドン市長が2020年ロンドンで五輪開催を主張」

→主張したのは市長選候補者

新型コロナウイルスの流行を背景に東京五輪開催に懸念が起きる中「ロンドンは2020年のオリンピックを開催できる」とTwitterで投稿したのは、ロンドン市長選の新人候補者であるベイリー氏。現職のロンドン市長であるカーン氏は「万が一求められた場合には」応じるとしつつも、基本的には東京開催支持のコメントをしている。


4.「英政府、クルーズ船の英国民の帰国を拒否」

→帰国便手配前に下船しないための注意

日経ビジネスで掲載された記事の見出しだが、不正確である。イギリス政府による帰国便の手配ができる前に下船した場合手配機に乗れない可能性があるということ。日経ビジネスの記事は既に修正されている(修正前のキャッシュ)。


5.「安倍総理 ウイルス対策会議を欠席して稲田朋美の誕生会出席」

→誕生会の日は会議無し

稲田氏の誕生日を祝う会に安倍首相が参加したのは2月21日。この日、新型コロナウイルス対策本部の会議は行われていない。議事概要や首相動静を見ると、首相はこれまで13回の全ての会議に出席している(出席は数分のことが多いが会議自体も数分から15分程度である)。一方、稲田氏は、国務大臣ではないため(党幹事長代行)元々会議のメンバーではない。


6.「新型コロナウイルスは生物兵器」(再掲)

→科学者が誤情報非難の共同声明

既にこの連載では「新型コロナウイルスにはHIVウイルスのタンパク質が挿入されている」「研究所から漏れたウイルスだ」「中国が漏洩を認める予定」といった複数の不確かな情報について取り上げてきたが、今週これら一連の「生物兵器説」を非難する共同声明が27人の科学者の連名で医学誌「The Lancet」に発表された。

共同声明では、新型コロナウイルスが野生生物由来であることを示す数多くの研究があることなどを指摘している。


その他

FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する国内外の情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。

また過去のまとめ(123)では、新型肺炎関連の「中国人が日本の健康保険に悪乗りするため押し寄せる」遺体を燃やすと出る二酸化硫黄が武漢で大量検出などの誤情報についても検証を多数紹介している。

 

(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年3月4日の予定です)

Return Top