2016年の東京都知事選挙で小池百合子氏が掲げた「ベンチャーファンド育成」の公約について任期中の取り組みを調べたところ、2つのファンドの設立を実行していたことが確認できた。(安藤未希)
検証対象の公約内容
中堅・中小企業の事業継承等を支援し、新規事業者の参入を支えるため、都内の事業再生・ベンチャーファンドの育成。
(2016年都知事選の公約「スマート・シティ」(9))
検証
小池都知事が就任した後の2017年度予算で、ベンチャーファンド事業(10億円)を新規に開始し、2018年には事業承継支援ファンド(25億円)を開始した。これにより、以下の2つのファンドを設立していた。なお、2020年度予算では、「事業承継M&Aファンド市場の創成」事業(60億円)も新規に計上している。
新規事業者対象ファンド
2017年、インキュベイトファンドを運営事業者とするインキュベイトファンド4号投資事業有限責任組合を設立。これは創業初期の投資・育成に特化した独立系ベンチャーキャピタルで、コンセプトの作成段階から起業家支援を行う。東京都が10億円、金融機関からの出資を合わせて80億円(2017年現在)の総額100億円の規模で、2027年まで10年間運用される。
中堅・中小企業対象ファンド
2018年には「TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合(新設)」と日本プライベートエクイティ株式会社が運営する「JPE・プライベートエクイティ5号投資事業有限責任組合」の2つを「事業継承支援ファンド」とし、共同投資で連携して運用されている。東京都は「TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合」に25億円を出資、ファンドの出資総額は65億円となり、2027年まで10年間の運用される。
結論
就任後、新規にベンチャーファンドと事業承継支援ファンドの事業を開始し、2つのファンドを設立していたため、公約は実行したと評価できる。よって「優」と評定した。