「介護用品のクッションは保険を利用して購入することができるため、市販で買うより安く、ボッタクリ価格で丸儲け」という内容のツイートがTwitterで拡散した。しかし、介護用クッションの購入に介護保険は適用されず、このツイートは誤りだ。(糟野怜菜、齊藤蓮)
チェック対象
「介護用品のボッタクリだけど、 保険で1割で購入できるわけですわ、 クッション1つが10780円でも買う側は1078円ですから、これなら市販のクッションより安い。だから保険で買う。売る方はボッタクリ価格で売れて丸儲け。」
(Twitter、2022年9月18日投稿)
結論
【結論:誤り】
介護用品のクッションを介護保険を利用して購入することはできず、クッションの購入代金が保険から補助されることはない。
介護保険についての関心の高まりを受けてのことだろう、このツイートは11月20日時点で4737件のリツイート、1.3万件のいいねを得るなど拡散している。
介護保険制度の仕組み
介護保険とは、40歳以上の人が全員加入して介護保険料を納めることで、介護が必要となった人が、1~3割の負担で所定の介護サービスを受けることができるようになる公的保険のことだ(参照)。
介護保険の保険金給付を受けることのできる介護サービスには様々なものがあるが、問題のツイートが言及しているのは、福祉用具販売の指定を受けた事業者から特定の福祉用具を購入した場合、費用の9割を介護保険から払い戻す、「特定福祉用具販売」制度のことだ(参照)。
「クッション」購入は補助の対象?
では、介護用クッションは、「特定福祉用具」として介護保険による購入補助の対象になるのだろうか。介護保険法によれば、「特定福祉用具」とは「居宅要介護者について福祉用具のうち入浴又は排せつの用に供するものその他の厚生労働大臣が定めるもの」とされている(8条13項)
上述の、厚生労働省のサイトで紹介されている「特定福祉用具」は、①腰掛便座、②自動排泄処理装置の交換可能部分、③入浴補助用具、④簡易浴槽、⑤移動用リフトのつり具の部品の5品目だ。
そして、2022年4月1日から「排泄予測支援機器」が特定福祉用具販売の給付対象種目として追加されている(参照)。「特定福祉用具」を指定する厚生労働大臣の告示を見ても、介護用クッションの記載はなかった(参照)。
そのため、介護用クッションは「特定福祉用具」ではなく、介護保険による購入費用補助の対象ではないため、「保険で1割で購入できる」ことはない。
ただし、ツイートで紹介されている製品は、車いす付属品として福祉用具貸与の対象になっているようであり(参照)、レンタル料の補助を受けることはできるようだ(参照)。
結論
介護用のクッションは、車いす付属品としてレンタル料の補助を介護保険から受けられる可能性はあるものの、「特定福祉用具」として指定されておらず、購入費用が補助されることはない。
以上から、介護用クッションを「保険で1割で購入できる」とするツイートは誤りと判定する。
InFactはレーティングをエンマ大王で示している。問題のツイートは「誤り」であり、これは3エンマ大王となる。