
インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜=ネット上の情報検証まとめ管理人)
| 今週紹介する“要注意”情報 | 
(1)「岐阜市ホームレス殺害 猫を虐める大学生達を咎めたから」
| 日付 | 4/27 | 発信者 | 一般ユーザー | 
| 媒体 | 拡散数 | 8.2万RT | |
| 内容 | 今年3月に岐阜市でホームレスの男性が死亡し、傷害致死や殺人の容疑で少年5人が逮捕された事件に関して、「ある日、猫を虐める大学生達を咎めた。学生達はその日から執拗にお爺さんに暴行し3月25日遂に集団で襲撃、一緒にいた女性を逃し、お爺さんは亡くなった。」などとする投稿。 | ||
| 引用 |  | ||
【検証】捜査関係者らが否定 無関係の実名も拡散
被害者男性と親しく事件当日共に少年らに襲われた女性は、男性が捨て猫を世話し可愛がっていたことを証言している(参照1、2)。一方で、岐阜新聞の取材に対し同じ女性は「猫に石を投げていたところは見ていないし、渡邉さん(※筆者注:被害者男性)からも聞いたことがない」とし、捜査関係者も「そんな話は全く聞いたことがない」としている。
この事件に関しては、少年法の規定により逮捕された少年らの実名は公表されていないが、ネット上では無関係の人物の実名等が逮捕された容疑者のものとして拡散される被害も起きている。詳細は上掲の岐阜新聞の他、中日新聞、週刊朝日の記事も参照のこと。
(2)「転売屋がマスクを週9億枚も買った」
| 日付 | 4/29 | 発信者 | 一般ユーザー | 
| 媒体 | 拡散数 | 5万RT | |
| 内容 | マスクの市場供給量について、政府支援などによって増産された分を「転売ヤーのが週9億枚も買って吹き飛ばした」(原文ママ)などとした投稿。 | ||
【検証】9億枚は全販売数
マスクの販売数について、毎日新聞は3月11日の記事で以下のように報じている。
ところが、経産省などが収集した非公式の市場調査で驚くべき数字が明らかになった。1月最終週に在庫が9億枚はけた――。国内の一般用マスクの需要は、花粉症シーズンなどピーク時でも週1・5億枚程度だ。ピーク時の6倍もの量が1週間でなくなり、約8割を占める輸入マスクの主要供給国である中国からの輸送も停滞。国内のマスクが品薄になるのは自明の理だった。
つまり「9億枚」というのは1月最終週における全販売数であり、「転売屋」が購入した枚数を表しているのではない。同じ数字は朝日新聞や時事通信でも伝えられている。実際の転売目的の購入数は不明だが、この「9億枚」のうちの一部と想像される。
元の投稿者は後に「『転売ヤー』は『転売ヤーと買い占める愚民』に訂正」などと投稿している。
(3)「日本国内で台湾製と印字のマスクは中国の偽物」
| 日付 | 4/23 | 発信者 | 清水ともみ(漫画家) | 
| 媒体 | 拡散数 | 3.3万RT | |
| 内容 | 台湾紙・自由時報の記事を参照し、「Made in Taiwan」表記のマスクの画像とともに、「現在、通販も含め日本国内で、台湾製と印字してあるマスクが沢山流通していますが、全部中国が台湾の名を偽って印字したもので偽物とのこと。台湾から寄付されたマスクは医療関係者用で6月末まで流通しません。」などとした投稿。 | ||
| 引用 |  | ||
【検証】中国製と断定できる根拠はない
清水氏が参照した自由時報の記事は中国語圏のFacebook投稿を情報源としているが、この投稿についてはインファクトの別稿の検証記事で、「根拠不明」と判定した。
台湾製の医療用マスクが今年6月まで輸出禁止となっているのは事実。しかし、輸出禁止前に購入され日本に持ち運ばれたマスクの可能性もあるため、国内で販売中の台湾製マスクが偽物という根拠は不十分である。また、FB投稿で「中国製」の証拠として添付された証明書の写真は、電気製品のものであり、マスクとは関係が無い。
(4)「大型連休に沖縄へ6万人余り来る予定」
| 日付 | 4/26 | 発信者 | 玉城デニー(沖縄県知事) | 
| 媒体 | 拡散数 | 3.7万RT | |
| 内容 | 「今年の大型連休に沖縄へ来る予定の方が航空会社の予約によると6万人余いるとのこと。」などとする投稿。 | ||
【検証】発着合わせた数 キャンセル手続き中のものも
玉城氏の投稿は、ゴールデンウィーク(GW)期間中の各社予約人数を計約6万人とする前日の報道を受けたものと思われる。
しかし、これはあくまで「沖縄発着路線」での数字で、沖縄から県外へ向かう便、沖縄県内の島々を結ぶ便も含まれる。全てが「沖縄へ来る予定の方」というわけではない。更に、沖縄タイムスの取材によれば、「減便や運休の便に予約をしている利用者からのキャンセルや振り替え手続きが残っているものもあり、予約通りの搭乗実績にはならない」という。
これらを踏まえ、赤羽一嘉国交相は4月28日、GW中の沖縄県外からの航空便予約者を約1万5千人とする推定を発表している。
(5)「ゴールデンウィークの航空便が満席」
| 日付 | 4月中旬頃~ | 発信者 | 多数 | 
| 媒体 | Twitterなど | 拡散数 | 最大約300RT | 
| 内容 | GW中の国内各地への航空便予約が「満席」になっているとする複数の投稿。 | ||
【検証】減便をシステム上「満席」と表示
航空各社のホームページ上ではGW期間中の予約が「満席」と表示される便が多数あったため、都市圏から地方へ来訪する旅行者や帰省者が数多くいるのではないかと不安がる反応が見られた。
しかし、NHK(1、2)やMBC南日本放送が九州各地の便について取材した所によれば、これは減便を検討していた便の新たな予約を止めるためにシステム上「満席」等と表示していたのであって、実際に予約が埋まっていたわけではない。実情では例年と比べ予約は大きく落ち込んでいるという。
同様に、長崎県内の離島を結ぶ船便なども「満席」との誤った情報が流れた。こちらは噂の原因は不明だが、長崎新聞によればやはりGW期間中の予約は実際激減している。
九州以外でも、国内外の航空便は大幅な予約減と減便が伝えられており(参照)、実際に予約満席となっている可能性は低いと考えられる。
その他
FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。
 また過去のまとめでも、新型肺炎関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。
また過去のまとめでも、新型肺炎関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。
(過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年5月13日の予定です)
※この記事の調査には、FIJのリサーチャーである八木風香氏が協力した。



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