小池氏が進める「アジアナンバーワンの国際金融市場」は東京には存在しているのだろうか?その実現に向けて具体的にどのような取り組みをしたのか検証した。(西村健)
検証対象の公約内容
東京をアジアナンバーワン1の国際金融市場として復活。国際金融特区や税優遇を活用し、世界から企業や高度人材を呼び込む。英語による諸手続きが可能な環境を整備。
(2016年都知事選の公約「スマート・シティ」(7))
検証
この公約に関連して、知事就任からまもない2016年11月、国際金融都市・東京のあり方懇談会が設置され、外資系金融機関CEO等と知事との意見交換会などをへて、「国際金融都市・東京」構想(2017年11月)が策定された。これを見てみると、その主なポイントはこうだ。
・東京に存在する金融機関から顧客にとって魅力ある金融商品が誕生せず、都民、国民の資産形成に悪影響を及ぼす可能性がある
・預金・貯金として滞留している資金が成長分野への投資に回る状況を創る
ー「国際金融都市・東京」構想より
この中に、英国のシンクタンクが毎年2回発表している「国際金融センターインデックス(GFCI)」でのランキングが示されている。この時点ではまだ、東京は香港、シンガポールに次ぐ5位で、アジアナンバーワンではなかった。
ところが、最新のデータを見てみると、驚くことに、ニューヨーク、ロンドンに次いで東京は3位に上昇し、アジアナンバーワンに復活していた(東京都ホームページも参照)。
では、小池都政下で行われた具体的な施策と成果について見ていこう。
特区の活用による外国企業の誘致
国際金融特区については、既存の国際戦略特区、アジアヘッドクォーター特区を活用して、大手町から兜町地区における国際金融都市の実現を目指していた。
外国企業の誘致活動については、小池都政のもとで以下の取り組みが行われた。
さらに、2019年4月、半官半民組織「東京国際金融機構」を発足させている。
こうした取り組みの結果、一定の誘致に成功していることが「Invest Tokyo」サイトで確認できる。2020年1月に取りまとめられた成果は次のようになっている。
英語による諸手続きが可能な環境を整備
英語申請等東京開業ワンストップセンターの利便性向上については、更なる利便性向上を図る観点から、赤坂に加えて、2017年4月に渋谷、7月には丸の内に新たにサテライトセンターを開設された(「国際金融都市・東京」構想 p10)。
金融についての高度な外国人材を一定程度呼び込めたとみられるが、具体的にどれくらい呼び込めたのかはわからなかった。
結論
公約の実現に向け「国際金融都市・東京」構想を取りまとめ、特区の活用による外国企業誘致などを進めてきた結果、国際金融センターとしてのランキングはアジア3位から1位に評価が上がっている。よって、本公約の評定は「優」とした。