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「現地報告:中国共産党腐敗官僚の実態②」 宮崎紀秀

「当然の結果です。私たちは記者として事実を報道するだけです。紀律検査委員会や政府が処分するかどうかは、彼らが決めることです」
中国では、当局に都合の悪いことを報じるには危険を伴う。実際に朱さんも、脅迫や暴力を受けたことがあるという。自宅の玄関には監視カメラを設置、盗聴を避けるために複数の携帯電話を使い、当局の封鎖を逃れるために「人民監督網」のIPアドレスは絶えず変更しているという。

「インターネットは中国で党と政府がコントロールしきれない空間。だからインターネットを通じて事実と真相を報じることができます。人々に報道の自由、言論の自由を与えることができます」

朱さんの下には、官僚の愛人などの情報が寄せられる
朱さんの下には、官僚の愛人などの情報が寄せられる

●持ち込まれる情報
こうした朱さんの業績は、中国国内でもかなり知られるようになり、彼の下には、愛人問題など、官僚の様々な腐敗・不正の情報が寄せられるという。

今年2月、私は、朱さんが江西省南昌市で、ある案件を取材するのに同行させてもらった。朱さんの標的となったのは、上海鉄道局の元局長だ。元局長は2011年40人が死亡した鉄道の追突事故で、局長の職を解任された人物だが、朱さんによれば今でも党籍は残っているという。その元局長が、妻子を持ちながら複数の女性と愛人関係にあるというのだ。事実とすれば、共産党の紀律違反となる。

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