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【Fact Check】震度5は無いのか?

【Fact Check】震度5は無いのか?

InFact編集長の立岩陽一郎がテレビの情報番組で「震度5弱と震度5は被害が大きく異なる」と発言。それについて「震度5はない」との批判が寄せられた。実は「震度5」はなく、編集長の発言は「誤り」だ。

対象言説 「震度5弱と震度5は被害が大きく異なる」

結論  【誤り】

かつて「震度5」はあったが、現在の震度は震度0から7まで10段階に分かれていて、震度5と6についてはさらに「強弱」に分かれている。これは阪神淡路大震災を機にできた新しい震度階級に基づくもので、現在は「震度5」はない。

InFactはレーティングをエンマ大王で示している。
編集長の発言は「誤り」であり、これは3エンマ大王となる。

エンマ大王のレーティングは以下の通り。

  • 4エンマ大王 「虚偽」
  • 3エンマ大王 「誤り」
  • 2エンマ大王 「ミスリード」「不正確」「根拠不明」
  • 1エンマ大王 「ほぼ正確」

InFactはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、InFactのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。

ファクトチェックの詳細

これは1月11日の毎日放送の情報番組「よんチャンTV」で、今回の能登半島地震に関連して、InFact編集長の立岩陽一郎が発言したものだ。この中で立岩は、震度5弱で液状化現象が起きて建物などに被害が出た石川県内灘町の状況を紹介する際に、「震度5弱でも液状化現状が起きることで、これだけの被害が出ることに驚いた。もともと我々取材する側の意識として、震度5弱と震度5は被害が大きく異なるというのがあって、震度5弱は被害があまり出ないというのが認識だった」などと話した。

これについて「震度5はない」との意見が多数寄せられた。「震度5」は無いのか?

マグニチュードとは地震のエネルギーの大きさであり、震度とは地面の揺れの強さのことだ。震度は観測地点によって異なり、同じ市町村でも違ってくる。そして地面の揺れ自体、地盤や地形に大きく影響される。

気象庁のホームページによると震度は震度0から震度7まで10段階に分かれている。そして震度5と6についてはそれぞれ「強」と「弱」に分かれている。実は、「震度5」はない。

ここで震度5弱と震度5強の違いを見てみる。

震度5弱の定義

「大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる」「棚にある食器類や本が落ちることがある」「固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある」

震度5強の定義

「物につかまらないと歩くことが難しいなど行動に支障を感じる」「棚にある食器類や本で、落ちるものが多くなる」「固定していない家具が倒れることがある」

また耐震性が低い木造の住宅については別に次の様に定義されている。

震度5弱

「壁などに軽微なひび割れ・亀裂が見られることがある」

震度5強

「壁などにひび割れ・亀裂が見られることがある」

結論として、かつては「震度5」はあったが、現在の震度階級には「震度5」はない。

「震度5」のあった震度階級は1949年から使われてきたものだが、現在の震度階級は、1995年に発生した阪神淡路大震災を受けて翌年の1996年から使われている。

阪神淡路大震災はマグニチュード7.3の大きさで、6000人以上の方が犠牲となった。このとき、震度階級は震度0から7までの8つに分かれていて、「震度5」は強弱に分かれておらず、一つだった。旧震度階級に基づくと「震度5」は、「強震」と位置付けられ、「立っていることはかなり難しい、一般家屋に軽微な被害が出始める。軟弱な地盤では割れたり崩れたりする」とされている。

震度は長い間、職員の体感で判定されていたが、防災機関の初動対応にとって、震度が極めて重要なことから、より客観的かつ迅速な震度の観測が求められるようになった。阪神淡路大震災の発生当時は、すでに震度計による観測が行なわれていたが、震度計の数は150程度しかなく、震度6までは震度計で観測することになっていた。その結果、最大震度は当初、6とされたが、その後の現地調査の結果、震度7に引き上げられた経緯がある。

これを機に気象庁は、体感による判定をすべてやめて、震度7を含めてすべての震度を震度計で自動的に観測することにした。さらに震度階級を10段階に増やした。この理由について気象庁は、「旧震度階級の震度5と6に対応する現象の幅が大きいことから、適切な防災対応に資するためだ」としている。震度計の設置もその後、全国津々浦々に広がり、地方自治体を中心にいまや4400を超え、はるかに細かく震度が観測されるようになった。

能登半島地震は、1月1日にマグニチュード7.6の地震が発生したもので、最大震度は7を観測した。1月18日現在、亡くなった方は石川県内で232人に上り、1万5000人以上が避難所での生活を余儀なくされている。

(立岩陽一郎編集長のコメント)

誤った発言だった点、お詫びします。ファクトチェックを突きつけられて、それが些細なことではなく、極めて大事なことだと感じました。以後、気をつけるとともに、引き続き、ファクトチェックに取り組んでいきたい。」

(清水竜太郎)

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