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<中国現地ルポ>病死豚肉が食卓に!? 死豚大量投棄の真相に迫る(前篇) 宮崎紀秀

2013年、中国各地で豚の死骸の不法投棄が社会問題になった。養豚業者が病死豚の処理費用負担から逃れようとして捨てたという疑いが出ている。しかし問題は投棄ばかりではない。調べていくと病死豚を闇で不法販売する事件も発生していた。食の安全が深刻な事態となっている中国。その実態を現地取材した。(アイアジア/宮崎紀秀)

揚子江が流れる湖北省宜昌市
揚子江が流れる湖北省宜昌市

●流れ着いた大量の豚の死骸

去年3月、中国・上海を流れる川、黄浦江に大量の豚の死骸が流れ着いた。数は1万頭以上。住民からは黄浦江を水源とする飲み水の汚染への不安の声が上がり、当局は検査で安全を確認するなど火消しに躍起になった。豚は上流にある養豚地域から流れ着いたものと考えられたが、そもそも豚が大量死した原因やその豚を誰が何の理由で投棄したのかなど、ミステリーはついぞ解明されることはなく人々の記憶から薄れて行った。

上海の一件から半年以上経った11月。その背景を探ってみようかと考えていた矢先、今度は湖北省で100頭近くの豚の死骸が投棄されたという写真がネット上に投稿された。私は、中国で頻発する死んだ豚の大量投棄の謎を探るべく、首都・北京から湖北省に飛んだ。

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