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[新型コロナFactCheck] 緊急事態宣言で「知事に強制的ロックダウンの権限付与」との米報道は誤り

[新型コロナFactCheck] 緊急事態宣言で「知事に強制的ロックダウンの権限付与」との米報道は誤り

アメリカCBSテレビは「安倍晋三首相は、必要とあらば、47都道府県の知事に強制的なロックダウン(都市封鎖)を行う権限を付与するために、緊急事態宣言を行わなければならない」と報じた。しかし、新型インフルエンザ等特措法の緊急事態宣言によって強制的ロックダウンの権限は付与されず、これは誤りだ。(安藤未希)

チェック対象
安倍晋三首相は、必要とあらば、47都道府県の知事に強制的なロックダウン(都市封鎖)を行う権限(the power to implement mandatory lockdowns)を付与するために、緊急事態宣言を行わなければならない。
(米国 CBSニュース、2020年4月3日
結論
【誤り】新型インフルエンザ等対策特措法により、日本の緊急事態宣言はロックダウン(都市封鎖)をするための法的罰則や法的強制力のない要請であることがわかる。したがって緊急事態宣言によって日本政府が各都道府県知事に対してその権限を付与することはない。

検証

CBSニュースは4月3日、「米政府が新型コロナ急拡大中の日本から帰国するよう警鐘」というニュースの中で、次のように報道した。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe would need to declare a national emergency to give the governors of Japan’s 47 prefectures the power to implement mandatory lockdowns, if deemed necessary.
U.S. warns Americans to leave Japan amid “significant increase” in COVID-19 cases (CBS NEWS 2020.4.3)

だが、新型インフルエンザ等対策特措法は、下記の通り、外出自粛の要請ができることは記載されているが、ロックダウン(都市封鎖)を実現するための法的罰則の定めはなく、強制ではない。

新型インフルエンザ等対策特別措置法
第45条(感染を防止するための協力要請等)

特定都道府県知事は、(中略)当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。

4月7日に行われた安倍晋三首相の会見では、「1週間ぐらいすると、何となく、強制ではないので、要請ベースになるので、(外出自粛が)だれてくることも考えられるのではないかというふうに思います。そうなったときに、引締めのために、警察を要請して、例えば職務質問などを活発化させるなどのことがあり得るのか、あり得ないのか」との質問に対して、安倍総理は次のように、要請に従わない場合でも罰則はないことを確認している。

いわば取締りの対象には罰則がありませんから、取締りの対象ということでは、警察が取り締まるということはありません。ただ、御協力は要請させていただくことはあるかもしれません。御協力の要請ですね。
安倍内閣総理大臣記者会見 (首相官邸、2020年4月7日)

法的強制力があるケースは必要物資の保管、不動産の使用

特措法によると、緊急事態宣言下で下記2点に強制力が付与されているが、これらは都市封鎖や人の移動と直接関係している項目ではない。

● 特定都道府県知事が医薬品や食品など緊急措置を行うのに必要な物資の保管を命じること(第55条)。この命令に違反した行為は6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(第76条)
● 特定都道府県知事が臨時の医療施設をつくる必要がある時に、所有者が正当な理由なく同意しなかった場合や所有者が不明確な場合は、土地や建物を所有者の同意を得ないで、使用できること(第49条)。立入検査を拒否した場合は30万円以下の罰金(第77条)

感染症法による交通封鎖は72時間

ただし、感染症法には、次のような規定があり、一時的な交通の封鎖は可能だ。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
第33条(交通の制限又は遮断)

都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

政府は、3月26日に政令改正により、新型コロナウイルスをこの感染症の対象としており、今回の特別措置法とは別に、この法律を適用させることはあり得る。ただし、これは必要最小限度の措置とされている。また、いずれにせよ、今回の特別措置法による非常事態宣言とは別のものと考えられる。

結論

日本の緊急事態宣言は、協力の要請を行うものにとどまり、罰則や法的強制力がないため、「47都道府県の知事に強制的なロックダウン(都市封鎖)を行う権限付与」ができるとするCBSの報道は「誤り」と判定した。

CBSは、4月6日の続報で、安倍総理がフランスのような強制的な都市封鎖を行うことができないと明言したこと、また当局が要請に違反した者に対して罰則を与えることができないことを報道し、事実上の訂正を行っている。

※この記事の調査には、FIJの国際協力プロジェクトの一環で、FIJリサーチャーの段エディ氏が協力した。

(冒頭写真は、CBS NEWS(4月3日)の映像より)

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