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[新型コロナFactCheck] 「日本の警察官73名が遺体取扱いで新型コロナに感染」との台湾紙報道は誤り

[新型コロナFactCheck] 「日本の警察官73名が遺体取扱いで新型コロナに感染」との台湾紙報道は誤り

台湾の主要メディアが、日本で警察官が新型コロナウイルスで死亡した遺体の取り扱いによってウイルスに感染されたと報道した。しかしこれは、元の日本の報道を誤解したもので、誤りだ。(池雅蓉)

チェック対象
『遺体を取り扱い 日本の73名の警察官が感染』
日本の警察庁は23日、3月中旬から4月22日まで、日本各地で警察による取り扱った遺体15名は新型コロナウイルスの感染者であり、22日までの検査の結果、10の都道府県、計73名の警察職員が感染していたことを明らかにした。

(自由時報、2020年4月23日付記事
結論
【誤り】国家公安委員会は確かに新型コロナウイルスで死亡した遺体は15名を取り扱ったこと、また73名の警察が新型コロナウイルスを感染したことという、2つの事実を発表したが、感染した警察は遺体の取り扱いによって感染されたとは言及しておらず、そうした報道もない。

検証

台湾の新聞「自由時報」は台湾の四大全国紙の一つで、この報道は新聞記事には掲載されていないが、ネット記事として掲載され、それを受けて、台湾のネットメディアである「ETtoday新聞雲」も同じような内容を報道している。

この記事は、共同通信社の中国語サイトである「共同網」の4月23日付報道を引用したものだ。その「共同網」の内容は以下となる。

日本警察廳23日發佈消息稱,3月中旬至本月22日警方處理的遺體中,東京等5個都縣15人感染了新型冠狀病毒。此外,截至22日檢出感染的警察職員包括10個都府縣警方在內總計達到73人。(略)

(訳)日本警察庁は23日、3月中旬から本月22日まで、東京など五つの都道府県で警察による取り扱った遺体のうち、15名は新型コロナウイルスの感染者であったと発表した。また、22日までの検査結果によると、10都道府県、計73名の警察職員が感染したことを明らかにした。(略)
共同通信中国語版サイト「共同網」日本警方處理感染新冠遺體15具 73名警員確診より

共同網2020年

「共同網」の記事が伝えたのは、警察庁を所管する国家公安委員会が4月23日に開いた記者会見の内容と考えられる(共同通信の日本語版記事)。このため、この記者会見の概要を「国家公安委員会委員長記者会見要旨」から確認した。大臣とは、国家公安委会の武田良太委員長で、長官とは、警察庁の松本光弘長官のことだ。

概要は以下のようになっている。

(問) 大臣にお伺いします。新型コロナウイルスについて、各地で警察官の感染も広がっている状況にあると思います。現在の対応状況についてお願いします。
(大臣) 4月22日までに、全国で合計73名の警察職員の感染が判明していると承知をいたしております。
・・・(中略)・・・
(問) 長官にお尋ねします。コロナ関係ですけれども、全国の警察が取り扱っている御遺体や、亡くなった方々から感染していましたという事例が各地で出ているところです。この件についての警察の対応についてお願いします。
(長官) 警察が取り扱った御遺体で、新型コロナウイルスの感染が確認されたケースとしては、今年の3月中旬から昨日までの間に15件の報告を受けております。
国家公安委員会委員長記者会見要旨(2020年4月23日)

この内容から見ると、警察官の感染者数は73名であるとの発表は行われているが、それが新型コロナウイルスに感染した遺体の取り扱いで感染したという説明をしたわけではない。また、警察が取り扱った遺体で新型コロナの感染が確認されたケースは15件との報告はされているが、遺体の取り扱いによって警察官が感染したという説明ではない。

仮に、警察官が感染者の遺体処理によって感染した事実が判明していれば、間違いなくそうした情報はメディアによって報道されていると考えられるが、日本での各メディアの報道を確認しても、そのような報道はなかった。

結論

警察庁は確かに新型コロナウイルスで死亡した遺体は15名を取り扱ったこと、また73名の警察が新型コロナウイルスを感染したことという、2つの事実を発表したが、感染した警察は遺体の取り扱いによって感染されたとは言及しておらず、そうした報道もない。よって対象言説を「誤り」と判定した。

※この記事の調査には、FIJのリサーチャーである龍偉氏が協力した。

※当初、発表主体を「警察庁」とした記述が一部にありましたが「国家公安委員会」に訂正しました。

(冒頭写真は、自由時報のサイトのスクリーンショット)

INFACTはファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しています。この記事は、INFACTのファクトチェック基本方針、およびFIJのレーティング基準に基づいて作成しました。FIJ編集委員会でガイドラインを満たすと判断されると、こちらのページにも掲載されます
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